“Sartoria” Attolini / Diary1376
6.2.2026

サルトリア工房“LONDON HOUSE”出身で1930年代に考案したアンコンストラクテッド構築によって英国様式であったイタリアの仕立てにナポリ様式という独自性を付与し、結果的にそれが新たな文化となった世界三代仕立てブランドの一つでありその中で最も小規模アトリエゆえの希少性で知られるアットリーニ。弊店はそんなアットリーニを仕立て=テーラー=サルトリアの文化における最高位として認識し尊敬し憧れて続けてきました。

 

 

“人間の身体は不完全であるからこそ不完全な服を仕立てるのが優れたサルト”という哲学によって30年代にアンコンストラクテッドを考案した初代アットリーニであるヴィンツェンツォさん、非構築的手法による構築という禅問答のような技術力は全てを手縫いで仕上げることでも知られ、ハンギングの状態では従来のシルエットが出ないため本来では生じない箇所に皺が寄り浮かない箇所が浮くという現象が視認できるのですがそれで正解であり、身体を包むと全てが解消され驚くほどに軽やかで滑らかな,寝られるほどの着心地を産み出すことで世界中の仕立てを愛する人々を熱狂させてきました。

そのアットリーニによるナポリ様式のサルトリア文化はそれこそ弊店がこれまでに何度か言葉や文字にしてきた幾つかと同じく“わざわざ我々が御提案するものではない”=既に絶対的な存在であることは一ミリも疑いようがありませんし、餅は餅屋理論でいったら特級ですし、弊店を御愛顧くださる中にはその文化におけるスペシャリストも多数いてくださいますし掘り下げの興味深さもそれゆえの独特さも尋常ではありません。それがサルト最高位のアットリーニとなると特級度合いも興味深さも独特さもとにかく尋常ならざるもので真正面から向き合うと骨の髄まで魅了され抜け出せません、きっと身に付ける様々も生き方も所作も立ち居振る舞いも必然的に決まってくると思います。

そんな真面目で絶対的な文化に触れると弊店が自分がいかに不良であるか、服飾史を積み重ねてきたファッションデザイナー達がいかに不良であるかを改めて認識するのです。もちろんここでの不良という言葉はネガティヴなものではなく、歴代のファッションデザイナー達はそれら仕立ての文化もしっかりと学んで理解したうえで時に変えたり時に壊したりしていましたので、それは適材適所であり適者生存でしっかりと棲み分けできている文化の違いでありいずれも正解で正義であると改めて思います。

元々スーツスタイルONLYだったこともあって敬愛していましたが、とあるファッションデザイナーとの秘密裏な繋がりを知ってから一層好きになり憧れにまで昇華したアットリーニ、11年前に一着だけ御提案して以来となりますが今のような時代だからこそ改めて不良の立場で御提案したく僭越ながらセレクション致しました。

 

 

ヴァージンウール,フランネルウール,ピュアコットン,ピュアシルク,カシミア×コットン、90年代から2000年初頭まで分布した“Sartoria” Attoliniの仕立ては素材感のみならず色調もサイズ感もシルエットバランスも様々。きっと真正面から向き合う際にはフィッティングやインナーやサイズ感などなどに様々な慣習,時にマナー,時に決まりごとがあることと思いますが、きっと弊店は勝手ながらそれらを認識したうえで皆様方が楽しいと思って頂けるか否かを最優先にさせて頂くことになるであろうと想像しています。もしかしたらそれはサルトと真正面から向き合う人々にとっては非常識かもしれない、もしかしたらヴィンツェンツォさんもその息子で現当主であるチェザレさんも怒るかもしれない。でも弊店は真正面から不良なのでファッションは自由であるべきものでファッションは楽しいと感じられるものであることを優先し、北青山の裏路地のマンションの一室でヴィンテージ・アットリーニをひっそりと御提案しようと思います。

 

 

 

 

 

New “Sartoria” Attolini Selection

 

普通にテーラードジャケットをサラッと羽織っている方が目立つという楽しい楽しい時代になって少し経ちますね。弊店にとって欠かせない要素の一つであるテーラードジャケットにアットリーニ一族というNEWメンバーが追加です。

 

 

SURR 福留

今欲しいアウター / Diary1375
5.2.2026

 

春物が少しずつ気になり始める季節ではありますが、朝晩の冷え込みや日によって変わる気温を考えると、まだまだアウターを手放せないという方も多いのではないでしょうか。実際、私自身も含め、今の時期は「春らしさ」と「防寒性」のどちらも妥協したくないと感じている方が多いように思います。 そこで今回は、インナーを調節することで冬から春先まで長く着用でき、オンタイムで即戦力として活躍してくれるハーフコートをご紹介いたします。

 

ピエール・カルダンの中でも、特に実験的なアプローチが際立ち、デザイン性の高さが魅力となっている「ESPACE」(エスパス)というラインのデザインハーフコート。随所に前衛性を感じさせながらも、可変的な首元の仕様は決してやり過ぎた印象はなく、日常のスタイリングにも自然に取り入れやすいバランスで、シルエットはカジュアルに寄り過ぎることなく、すっきりとスタイリッシュで、どこかドレッシーな雰囲気も感じました。また、ライニングには軽量なパデッドを採用しており、寒暖差の大きい春先の不安定な気温にも柔軟に対応してくれる点も魅力です。

今の時期のインナーには、カシミヤの上にカシミヤを重ねる、いわゆる“カシミヤONカシミヤ”のレイヤードを取り入れています。最近はほとんどこの組み合わせばかりで、完成度の高い着心地で、肌に直接触れてもストレスがなく、柔らかさと軽さがありながら、保温性も申し分なく、シンプルに言ってしまえばとにかく暖かいのが魅力です。 今の時期によく耳にするヒートテックなどの機能性インナーも、防寒性という点では非常に優れていると思いますが、個人的には一枚で見せることのできる「魅せられるインナー」を選びたいと考えています。アウターを脱いだ際や、レイヤードの隙間から覗いたときにも様になるインナーの方が、スタイリング全体の完成度を高めてくれるように感じます。

個人的には、春先になると自然とシャツを手に取る機会が増え、つい出番が多くなってしまいます。軽やかさがありながらも、きちんとした印象を与えてくれるシャツは、季節の変わり目のスタイリングにおいて欠かせない存在だと感じています。昨年は、サックスブルーのシャツを探している方を店頭でも多く見かけましたし、各コレクションや街中でも目にする機会が多かったように思います。 今年はそこから少し気分を変えて、トーンを抑えたラベンダーカラーなどを選ぶのも良いのではないかと感じています。淡い色味でありながら、ほんのりと個性があり、春らしさも程よく演出してくれる点が魅力です。襟元をラフに開けてみたり、アウターやニットの袖口からあえてシャツの袖を覗かせたりと、着こなし次第で表情が大きく変わるのもシャツの楽しさのひとつ。細かなバランスを意識することで、スタイリング全体に奥行きが生まれ、春先ならではの装いを存分に楽しめると思います。

 

 

気になりましたら是非に。

 

 

SURR 古川

究極的=変態的 / Diary1374
30.1.2026

“フレンチワークウェアにおける最象徴” そう言って差し支えないのでしょうか?どうなのでしょうか?私はかねてよりそう思っているのですが、モールスキンジャケット。ファッションの嗜好もスタイルの思考も様々で然るべきだからこそ時と場合と時代と気分において推移するのは必然だしなんだったら気分がちょっとずつ変化して装いの心持ちも同じく変化するのって楽しいじゃん良いじゃんと思うのですが、その度に思うのが“なんだかんだ帰結するプロダクト”ってあるよなって、そしてそれがこのモールスキンジャケットであったりそこから発想を得た別の名作であったり。まぁ後者も含めると現代装いのほとんどが含まれちゃいますけどね、ハッハッハッ。まぁいずれにせよ完成された良い服というのは良いものです、50年代個体特有の個性に奇跡的に成立しているアートリペアの圧倒的な求心力は言うまでもなくね。

 

 

セイリングカルチャーからのインスパイアを得たお国柄満載なイタリークリエイション。独特な軽やかさ,いや重くなさ?なんとも不可思議な重力の感じさせ方に良き時代性を感じさせるマルチポケットのプロダクトデザイン感、フンワリかつモッタリとしたドレープと全てにおいてモダンの可能性を予感させてくれます。シンプルに良い一着だとシンプルに思いました。

 

 

スポーツジャケット型と思わせて胸ポケット付きでテーラードジャケットのスタイルバランスという相も変わらず“読めない”ミウッチャさんのファッション哲学でこのバランスは初めて出逢いました、そんで1995-1997sのメンズ最初期ピリオド と。でもね私はもう逆に驚かなくなりましたよって言ったら変な物言いですが、自分なりに真摯にVintage PRADA Uomoのファーストラインに向き合い続けることでいかに彼女の世界観が高度過ぎる成熟具合から始まったかをこれまでビシバシと容赦なく実感してきましたから。最初期ピリオドの時点でシルエットバランス及びスタイル提案の軸がない自由型だし独創度合いもクリエイション目線も完成され尽くしていたし ということでそれ以降って最初期ピリオドのアレンジであったり再解釈であったりREテイクの連続じゃない?と思っても致し方ないくらい成熟して完成されていたので。ですからこのようなキメラ系統と出逢ったとしても驚くけど驚きません。

 

 

親愛なるセラファン、の中でも特に愛すべきはヴィンテージ年代における創始者エンリ・ジョルジュ・ザックスによるモード目線のデザインクリエイションライン。既存のセラファンがファッションブランドとしてではなくレザーウェアメーカーの側面が強かったために相反する世界観として存在したそれは、各社に提供していた最高峰のレザークオリティをザックス自らの手でモードデザインに昇華させたという上質な目線と贅沢な要素性を煮詰めに煮詰めたある種の究極的なクリエイションでありイコール変態的なクリエイション。御手本のようなボンバーシルエットと特徴的な意匠からは心地良いモードの迫力を,信じられないほどに美しいと同時に強度も兼ね備える最高峰の革質からはファッションの喜びを,ウールカシミアのライニングからは上質な目線の尊さを,そして落としたら絶っっっ対に替えが効かないであろう染色鹿の角ボタンからは変態的クリエイションの中毒性を。本当に凄まじいです、これ。

 

 

撮っててミカンみたいーって思いました。今回もパッと持っていってきますでポイっと置いてただいまーでそれが何より幸せ。

 

 

防水コーティングが施されたSPECIALITY ALL WOOL “BURELLA”個体のご提案はかなりに久方ぶりな気がします、BURELLAって確かアンブレラからでしたっけ?可愛いネーミングですよね。いわゆるウールギャバジン系統かつ屈強な素材感なのでこちらのようにしっかりとしたヴィンテージ風合いも合うなって思えました、独特な光沢もやはり粋。時代を経たからこその茄子紺のテクスチャーも幸運にも条件が揃えばやはり最高に格好良い、生き様がそのまま現れるのは人も服も一緒だなぁとまたVintage Burberryに教えられました。デザイナーズよりもデザイナーズなオリジントレンチコートです。

 

 

 

 

 

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