全開 / Diary1447
9.10.2026

2004SSでは、East Westのジャケットを取り上げるなど、トムフォードが着目するデザインの出自には、度々意表を突かれます。華やかなイメージが先行する一方で、その創造の背景を辿ると、既存のファッションの枠にとどまらない、興味深い着想源に行き着くのかなと思います。 今回の1着も、まさにそんなプロダクト。デザインソースとなったのは、1930〜40年代のドイツ警察官が着用していたモーターサイクルジャケットです。

 

 

フロントには4つのポケットが配置されておりますが、デザインソースとなったオリジナルではジップ仕様となっており、Tom Fordはその特徴的な配置を受け継ぎ、ポケットへとアレンジしています。この斜めに設計されたポケットは、モーターサイクルウェアに見られるディテールのひとつで、走行時やグローブ着用時の使い勝手を考慮した形状とされています。 サイドにはアジャスターを備え、ウエスト周りのフィット感を調整できる仕様に。 こうした細部にも、実用性を重視したオリジナルの特徴が見られます。 ドイツのデザイン学校、バウハウスに代表されるように、当時は”無駄な装飾を省き、機能性を追求する”という工業デザインの思想が大きく発展した時代でもありました。そうした時代背景のなかで、実用性を第1に考えた設計が、独自の意匠を備えたプロダクトを生み出していったと思います。 そして、オリジナルの無骨な佇まいをそのまま再現するのではなく、スエードの柔らかな質感と太番手のステッチによって、70年代を思わせるハンドクラフトの雰囲気を加えています。実用性を重視したオリジナルのデザインをベースに、素材やディテールで独自の表情を生み出していて、トムフォードらしさ全開です。

 

New early00s Gucci by Tom Ford German policeman-style suede leather jacket

 

 

ディテールもさることながら、やっぱり面が良い。

 

 

SURR 古川

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ZILLI / Diary1446
8.10.2026

世界には数多くのラグジュアリーブランドが存在しますが、その中でもZILLIは、少し異質な存在と言えるでしょう。 1965年にその歩みを始め、1970年にAlain Schimelが工房を引き継ぎ、ラグジュアリーブランドとして発展していったZILLI。 1970年にはラグジュアリー・レザーブルゾンを打ち出し、当時まだ存在していなかったラグジュアリーとスポーティーを融合させた独自の領域を切り拓いていきました。 その後、レザーウェアだけに留まらず、スーツ、シャツ、ニット、シューズ、ファー、革小物に至るまでメンズウェアを展開。 1980年代にはロンドン、1990年代にはパリ、そして1993年にはモスクワへ進出するなど、早くから世界の富裕層を顧客としてきました。 Alain Schimelは、あるインタビューで自身の顧客について「men with power」と語っています。決して大衆に向けて作られた服ではなく、世界の中でもごく限られた、本物を知る人間のための服。 ブランドが掲げる言葉は、 “The finest garment in the world” ──世界で最高の衣。 この言葉を単なるキャッチコピーで終わらせず、素材、技術、仕立て、そのすべてにおいて突き詰めてきたZILLI。 まさに、他の追随を許さない圧倒的な存在です。

 

 

襟には古くから最高級の毛皮のひとつとして扱われてきたミンクを贅沢に使用し、ボディにはわずか0.4mmまで薄く仕上げられた「glacé lambskin」を使用。艶やかな表情を持つ極薄のラムスキンは、シルクを思わせる比類なき軽さと光沢を備えています。 さらに裏地にはシルクを用い、その中間部分にはレザーによるパイピングを施すなど、表からは見えない部分にまで細かな仕事が施されています。 そして目を惹くのが、ボディにドッキングされた約1cmにも及ぶ巨大なpique。素材の選定だけでなく、こうしたディテールにまで徹底してこだわるところに、ものづくりに対する姿勢と凄みを感じます。 

 

これだけ贅沢な素材と緻密なディテールを備えながら、袖を通してみると驚くほど自然な着心地。 肩に余計な張りがなく、身体のラインに沿ってすっと馴染むため、見た目の重厚さとは裏腹に、驚くほど着やすい1着です  

New 90s Zilli crazy wide pique docking pure silk lining leather design jacket

この1着に出会うのは、稀です。

唯一無二と呼ぶに相応しい、圧倒的な存在感です。

 

 

SURR 古川

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猛烈に欲しい1本 / Diary1445
7.10.2026

弊店ではこれまでにも何度もご紹介してきた、最早説明不要とも言えるジョルジオ・アルマーニですが、毎度のことながら新しい発見があります。 年代やライン、生地、シルエットなどに目を向けてみると、見慣れているはずのアルマーニでも、まだまだ新鮮な発見があるものです。 勿論、今回ご紹介するこちらの1本も初見でした。

 

 

New 90s Armani Jeans wide cotton pique five pocket pants

80年代後半頃に、テキスタイルに焦点を当てて展開されていたライン「H.P.F(High Performance Fabric)」。 恐らくCotton 100%と思われる、上質な太畝コーデュロイを使用しており、太畝ならではの立体感のある表情に加え、しっかりとした生地感も魅力的。テキスタイルに焦点を当てていたH.P.Fという背景を知ったうえで見ると、こうした素材選びにも当時のアルマーニらしさを感じます。 この年代のアルマーニのパンツは、テーパードが強く、裾にかけて細くなるシルエットのものが多いですが、こちらは裾幅20.5cmと程よくゆとりがあり、今の感覚で穿いても非常にバランスが良いです。 初期ならではのレザーパッチやピスネームタグもポイントで、年代を感じさせるディテールが残っているのも嬉しいところです。 そして個人的に面白いと思ったのが、前の持ち主によって裾がシングル仕立てにされていること。 アルマーニのパンツでありながら、こうした仕立てを見ると、前の持ち主はスラックスのような感覚で穿いていたのかもしれません。誰かが実際に穿いて、手を加えて、その人なりの一本になっていった過程を想像できるのも、面白いですよね。 

生地の質感、ディテールだけで十分に魅力的ですが、何よりこのカラーリングがとにかく良いです。  

 

サイズ36,W34,L30.5inches

 

猛烈に欲しいです。

 

 

SURR 古川

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