先日帰国した買付けの旅順はフライトの都合により珍しく早朝5時にパリ着のスケジュール。普段というかほとんどは夕方前くらいに到着してその日は休養もしくは軽くのみ活動して翌日から本格的に買付け開始がデフォルトだったのでイレギュラーながら到着して即座に行動開始、機内で意識的に睡眠を摂ったのでさほど眠気を感じなかったのですが言っても12時間以上のフライト&時差ボケ(私は少なくとも二日間は抜けない)なのでよーし気合いを入れなきゃなーと独りごちながら早朝に到着した今旅最初のアポイントメントにて奇跡と言っても良いほど幸運にも出逢うことができたのが垂涎のレザープロダクトでした。
勝手に心の師と仰ぐ御馴染みのコレクターが“Leather is finish”とはっきり言い切ったのは記憶に新しい限りなので(確か2023年の中頃だったかな)2022年,2023年と幸運にも2年連続で御提案できた政府関連企業や国営企業のためのフレンチワーク・レザープロダクトのセレクションは今年は難しい、もしくは一貫して敷いてきた“重くない個体かつ著しくコンディションが良い個体のみ”という私の判断基準を著しく下げなくてはいけないだろうと,良くない言い方ですが妥協せざるを得ないだろうと覚悟して臨んだのですが、驚くべきことに歴代のセレクションと比べても微塵も遜色がないどころか数点に至ってはこれまでに出逢ったことがないほど美しいコンディション,これ一度も袖通されていないんじゃない?なんて個体にも出逢えまして、眠気も時差ボケも一瞬で吹っ飛んでくれたのです。
本当に驚きましたし想定外過ぎてかなり動揺してしまいました、もちろん嬉し過ぎる想定外ね。今年もこれまでと同じく重い個体とコンディションに難有りの個体は一切選ばず、現実的で実用的で有用性に富みモダンなプロダクトデザインとして,なんだったら現代のプロダクトとして捉えられる暖かなレザーコートのみを私の勝手な判断基準ながら厳選。極めて月並みな表現ですが総合的には歴代最高峰のラインナップになってくれたように思います。
New. 50-60s French Government Worker Leather Selection
本当に幸運なことに今回は特に沢山の個体が揃っていましたが、そこからセレクションが叶ったのはたったの十着のみでした。しかしながら弊店にとって十着という数はしっかりとしたバリエーションです。さぁ今年もレザーを,本物のレザーを,もう新たに製作することが叶わないロストプロダクト的なレザーを楽しみましょうぞ。
Leather is not finishでした、今のところは。でもただただ幸運だっただけであくまでyetなだけです、あくまでね。
SURR 福留
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丸々一週間前に買付の旅から帰国しました。個人的なやんごとなき理由で二ヶ月と少々遅れてしまった今回の旅はここ数回で最も濃密な時間を過ごせたように思います なーんて言葉はそういった生業の人々の常套句かもしれませんが、濃密疲れで午後二時くらいにはもう即寝落ちしそうだなんて流石に滅多にありませんでして、でもそういう時って普段と違ったアドレナリン,自分が思うにDNAに刻まれた狩猟本能系が出て心地良かったりするものの、こんなの続けてたら寿命が縮むなぁと思いつつも買付の旅における本懐はそれですのでやっぱりとっても有意義でした。あと改めてヨーロッパ各所における“トレンドは一人一人の中にあるぜ“感を再体感できて癒されました。普段表参道や渋谷原宿にいると感じる時代のファッションの流れがヨーロッパ各所には良い意味で無くって、厳密にはファッション感度が高い人達が集まる一部のエリアには表参道や渋谷原宿のような時代のファッションに身を包んだ人々はいるのですが裏を返せばそのエリア以外にはいませんでして、皆んなが一様に自分が好きなスタイルやトレンドを自分が納得する在り方で楽しんでいるであろうFREE感と言うかFREEであることが当たり前感、癒されました。
と言うことで上の写真は夕方前にも関わらずもう体力ゼロながら皆んなFREEで良いねって御機嫌な気分で撮った地中海。今回の旅で切ったシャッターはこれだけでした。
2024年のニットセレクション、パート2です。パート1の際には幾人もの御客様方から“間違いの無いニットを毎年一枚づつ買いたい“的な御言葉を頂け本当に本当に幸せな、それこそ特級のカシミアで身体を包み込なんでいるかのような暖かい心持ちになれました、ありがとうございます。これまた有難いことに体感的には例年以上に早いペースでの旅立ちを見守ることができましたのでパート2も弊店にとっては特にしっかりとたっぷりとしたラインナップを御提案、ここまでTOP OF TOPクオリティのカシミアをしっかりとした選択肢で御提案できるのも買付の旅で御世話になるコレクターのおかげです。楽しくて仕方ねぇぜ!
New.Knit selection 2024 Pt.2
皆様方にとって自分らしく居られて充足できるスタイルって何ですか。私は年々気分が変遷していくとしても安定して自分らしくいられるのはニット,特にカシミアにパンツスタイルであると今年も切に感じます。相変わらず素肌にカシミア(インナーを選ぶという選択肢が省かれて最高なんだ)でパンツ穿いて靴履いて何かしらのアウター羽織って(だいたい腰丈)、まだ寒かったらビーニーとマフラーと手袋でコンプリート。こんなにも楽チンで快適であると同時に自分らしいと思えて心が落ち着いて、何よりも好きと思えるスタイルなんて最高過ぎるでしょ。今年なんて特にファイヴポケットパンツ気分なので下半身の選択肢が少ないったらありませんが、それがまた良い。あとセーターONブローチも今年のMYトレンドです。
皆様方も自分らしい楽しいスタイルで心と身体を暖めてくださいね。
SURR 福留
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ざっくりとしたタフウールにレザーを散りばめて着脱式のケープとフードで飾り付け。古のフレンチカルチャーに存在した旅用コートをARNYSの解釈で。
レインコート宜しくなコットン×ポリエステル素材ながら際立つエレガントな張り感、ここまでもエレガントなコートだとワンピーススリーヴであるか否かなんてどうでもよくなってしまいますね。こちらはARNYS解釈のホースライディング・プロダクト、それだけでもう心躍りまくります。
90年代初頭の同時代に製作された二つのカーコート、一方はピュアウールのオーヴァーサイズ設計でもう一方はポリエステルモールスキンのナチュラルオーヴァーサイズとなります。このインダストリアル漂う設計哲学とHermes hommeならではの美意識の融合、良い意味で誰にでも提案できる(誰にとっても便利だし実用的だし不変的に格好良いし)唯一無二のプロダクトです。
モチモチ過ぎるレザー,無骨だけど品格と品位に溢れるスタイル性,各所に的確に配置された実用性,そして裏地にピュアカシミアを配置するという狂ったエレガンス目線。ぶっ飛んでいます。
New, ARNYS Hermes homme & Loro Piana
今週の新作は五着の怪物。
SURR 福留
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