シャツにタイ、ウールトラウザー、内羽のストレートチップ。日が沈むまでのフォーマルな外着であるフロックコートは、着丈が長くダブルブレスト。目立たせず、そして女性を際立たせる黒のみ。髭を立派に蓄えたジェンツに愛され、少年ではない成長を顕示する。
そのような1着にブラッシングをかけた後、気軽に袖を通したときの感情は、“ 久しぶり ” という不可思議なもので、当然ワードローブには常にフロックコートという粋な男ではないので(いつかは必ず)、以前着ていたから “ 久しぶり ” というわけではないことを申し上げておきますが、これがフロックコートであれ、モーニングコートであれ、背面裏地に施されたシガレットポケットがどうであれ、なにに置いても “ おおきい ” がマストポイントな今、コートを身体に沿わせてしっかり着用する感覚は、海底に沈下されてる泥を掘り起こされたように、確実な感覚として紛れもない “ 久しぶり ” でございました。
ジェンツの仕草や作法はその国や土地や習慣によっても異なってまいりますが、これもひとつの流派とするならば、やはり英国や美的感覚を優先する仏という国には学ぶべきことが多いと思いまして、手はポケットに入れないのもそう。そこでようやく、グローブの存在に気が付きましょう。
男性たるもの、ジェントルマンの心得はいくつメモに記してもマイナスにはならないと、私もみえないところで箇条書きにしていますが、先日ディレクターから教わった事柄もひとつ。タクシードライバーに代金を支払う際におつりは貰わない。早速実行しておりますが、これもつい先日、2メーターの距離を走行してもらい、千円札を出す「おつりは結構です」と一言。そこで五千円札だと気が付いたときには後ろには引けず。降りたあと両の手で頭を抱える私も、未だ未だという事でしょう。そう思うことにしてます。
20-30s France antique wool frock coat
シャツにタイ、ウールトラウザー、内羽のストレートチップ。そして身体に沿わせてしっかり着用する男性的シンボライズ。勿論、ハンドウォームポケットは排除。内ポケットにはマネークリップに挟んだお札を。ここは静かに、千円札のみで参りましょう。
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