フィニッシュ・メンテナンスが完了致しまして、やっとお披露目できる一品はイギリスで出会ったクリエイターから譲り受けたもの。彼がヴィンテージを選別する目線はいわゆるコレクターとは一味異なり、感性の手本とするため世界中からセレクトする一種のライフワークなのですが、膨大なそれらピースを集約するリソースルームの一角、照明もまともに当たらない片隅にポツンと佇む一つハットに心を射貫かれました。詳細は何も知らず、そもそも興味が無いようで、あまつさえ 『 私はヴィンテージ・プロではなくクリエイターだ 』 とはっきり言い切るスタンスを逆に心地良く感じつつ、無理を言って譲って頂きました。
1930~40年代頃に荒くれ者が被っていたリアル・カウボーイハット。重厚なフェルトはブルハイドでしょうか。時代に流されず風化しない屈強さと、そこはかとない品位。頭をすっぽりと覆い隠すクラウンボリュームに、雨風を防ぐワイドなブリム。本物だからこその本格仕様でありながら決してヘヴィーデューティーでは終わらない絶妙なバランスには、類似の無い存在感を感じます。私にとってここまで一瞬で惚れさせてくれるハットは、そう出逢えるものではありません。
ちなみに、フロントに小さな裂傷があったのですが、その場にあった革紐を用いて彼がアレンジリペアを施してくれました。
さも “ 私はヴィンテージ・プロではないが、クリエイターだからね ” と言いたげな表情に暖かな人間味を感じつつ、愛猫に別れの挨拶をして彼のアトリエを去りました。
30-40s Real cowboy hat
SURR by LAILA 福留
03-5468-5966
[email protected]
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