タイムレス / Diary 783
29.10.2019

ブランドに措けるブランドフォント、ロゴを改新する背景にはデザイナーの交代、リブランディングでのイメージの一新。賛否のある中、メゾンブランドが歴史的なイメージを覆してまで変える意味はあるのかと考えつつ、 SNS が発達した現代に措いてストリートブランドの様な一目見て判り誘目を促すようなキャッチーさを求めているように伺えたりと、伝統的な部分に変化を与えたところでそもそもの固定概念に影響を及ぼす点、勿論更新されることによりプラスに働く点もあり、何を変える、何が変わるというのはリスクと成功の隣合せで近年も多く見受けられる事柄だと感じますが。これから紹介する現代に措いても一貫した物づくり、私の尊敬して止まない彼もまたロゴの変更を過去を行っていまして、その理由は明確ではないのですが個人的考察と共に御紹介させて頂きます。聞かれれば彼の物つくりが一番好みだとと答えますが、どこがと聞かれると少し詰まります。なぜなら一言では言い表せないのです。

Ealry 90s Dries Van Noten oversized wool , silk & nylon sweater

御存知の方も多いと存じますので、彼の略歴は割愛しますが、初期から 95 – 96 A / W まで DVN タグ ( 恐らく私しか使っていない名称 ) 、上記の旧タグが使用されています。それまで彼の物つくりは身体へストレスの無い、包み込むようなフィッティングを厳選された素材で表現していたように思え、現代の意図のあるオーヴァーサイズではなく、男性像を彼のフィルターに通した際に強さではなく温かみのある、肩肘貼らない女性的な感性を感じることのできるモダンな物つくりだと私は印象を受けます。こちらは年代の確定が出来ず、92 SS から始まったコレクションショーを発表する以前のピースである可能性もあり、個人的にも興味深い一着。wool × slik × nylon と部分的に編み込みを変えた変則的な構築且つ身体を包み込む無駄の無い ” 余白 ” が当時の彼らしいリラックス且つエレガンスを感じられます。

 

96 – 97 A / W Dries Van Noten work-style wool jacket

こちらのジャケットに関しましてはタグが変更後、 96 – 97 A / W コレクションの一着。それまでの物つくりに敬意も伺えつつ、時代の変遷にも影響を受け始めたような身体のラインが強調される現代のコレクションにも精通する物づくりへ。ショールックですとブルーストライプのシャツをスリムな同系色のトラウザーズにタックインした正統な佇まい、着丈の短いワークジャケットベースではありますが、ハンドウォームポケットの付く利便性の高さも伺えます。
この 96 – 97 A / W のショーは真冬のパリ郊外の市場で行われ、雪が降りランウェイに焚火が設置されている中モデル達が自由に寒さに耐えながら歩くのですが、こちらを着用していたモデルは凛とした佇まいでウォーキング。なぜならメルトン × キルティングライナーと防寒性にも特化した一着にもかかわらず膨らみの無いスリムな美しいカッティングと申し分の無い逸品。もしくはモデルの彼が寒さに強い体質だったかは定かでは無いですが。生地違いで鮮やかな色味のチェックパターンも確認しましたが、個人的にも襟、身頃の同系色のこちらはとてもでデイリーかつモードな印象にも感じる振り幅のあるとても巧い物づくり、中々無い丁度良さ。

 

 

「 時代を超えたタイムレスな服を目指している。 」

彼の言葉が届けばと。

 

 

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