色々と一蹴する力 / Diary587
5.9.2018

私は Gianni Versace や Best Company や Ermenegildo Zegna と同じく、佇まいや風情における “ イタリアの風 ” の要因を担った一つとして C.P.Company を捉えています。それぞれ異なる初期衝動や運営意図であったかと想いますが、その根底に流れる素材への尊敬心や機能美への探求心が共通していると美しき作品群を目にすると, 手にすると強く強く感じるからです。設立者マッシモ・オスティが居た時代と居なくなってからの時代を分けることはもちろんですが、それ以上に現代の品との違いとして直感的に感じるヴィンテージ・ピースそれぞれが目指していた ( であろうと想像させてくれる ) 豊かな出で立ちや、よりクラシックを基軸とした知的な構築などに類似のない個性を感じ御提案してまいりましたが、この度の御紹介はそれらの感情を全て一蹴する、ある意味一着の服としての力でねじ伏せるほどに圧倒的な、私にとって問題作とも言える一品です。

 

 

 

オスティ氏が個人収集していたミリタリーピースがクリエイションの根幹となっている背景と、同社において重要な研究課題であった素材によるコントラストを単純明快に表現し、かつ現代に至るまで象徴的なモデルと相成った当モデルは、元々 1988 年に同社が主催したモーターサイクルレースのために設計されました。極めて特殊な防具から着想を得て生み出された、衣類としてのみならず根本的な機能装飾の観点でも明らかなる異物と捉えられてしかるべきなパーツは、しかしながら着用において不要かと言えばそうではなく、日常において一切活用されないかと言えばその逆であろう、誕生からちょうど 30 年たった今においても独創的であり独善的でもありながら現実的な、C.P.Company の哲学と存在価値をそのまま具現化したかのような要素です。

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世界中に収集家と専門書が存在する同社において、前述の通り現代においても象徴とされている当モデルですが、私にとってそれらの要素が野暮に感じるほど純粋に格好良いと想わせてくれる, その点において一着の服として全ての理由と背景を一蹴するほどの力を持っていると素直に感じることの出来る稀有な一着。同モデルもしくは当要素を用いたモデルは現代においても目にすることが出来ますが、私はより永く相棒として愛でたいと想う判断において、素朴とも言える初期の研究素材表情と初期時代ならではのクラシックを基軸とした不変性に軍配が挙がります。

 

 

 

 

 

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1990s C.P.Company goggle jacket

 

 

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