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蜜月を重ねて / Diary669
7.2.2019

 

“ 男女に限らず、自分の服装にスタイルをもっている人間が好きだった。「なぜその服と靴と鞄を選んだのか」という理由を持たない人間とは気が合わなかった。しかしかつてはスタイルをもっていた人たちも、徐々に自分を律する力が弱くなり、体型を崩し、一貫性を放棄していく。私の好みは明確だった。男だってスタイルは重要だ。
香水にも違いが出る。フローラル、シトラス、スモーキー、パウダリー。彼らの香りはきちんと性格に合っていた。このような話をすると「いい歳して外見しか見てないの?」と見当外れなことを言う女がいる。バカだと思う。三十代、四十代になってもきちんと自分が身につける服装に気をつけている人間は、ほとんど例外なく賢くて、ストイックだ。知的で心の強い男を探すのであれば、まずその服装を見るのが一番分かりやすい。”

 

 

 

 

柴崎竜人氏が作中で謂う「知的で心の強い男」が女性から求められる絶大な魅力点だとするならば、自身を律する力を維持し、体型を崩さず、一貫性を保つ内的な強さが、良い男の条件を満たすマテリアルになるということですが、確かにそのような男性は自身にフィットする図を想像しうる力があり、選ぶ事が出来、着ることが出来、例外なくストイックだろうと思いますし、自身の選択をきちんと説明できる理解と知性も持ち合わせているのでしょう。ところで、

 

 

 

Hermesでお買い物をする男性とHermes hommeを悠然と所有する男性とHermes hommeを泰然とお召しになられる男性に対し(年齢に関わらず) “知的で心の強い男性像” を接続してしまうのはわたくしだけかもしれませんが、服飾に興味関心を抱いた思春期より漠然と憧れていた紳士像をわかりやすく言語化下さった柴崎氏のセンテンスとHermes hommeの逸物と厳然とした関係を続ける男性との接合性が硬いものに成りましたので引用をさせて頂きまして、あるいはハックルベリーフィンとトムソーヤのような親密で揺るがない相互性は、金銭の有無では決して到達できない精神の豊かさに通ずるように、結局のところそのような在り方がとても大切なのだろうと近々迎える2019s/s Pre collectionを目前に色々考えを煮詰めております。

 

 

 


 

“男性のコート”を確実なものにするバルマカーンは知的で心の強い男を助長する上では限りなく有能で、どこまでも有益であります。微調整の連続によってリリースされる逸物は、綿密な設計力と歴作のデータによる総合性に加えヴェロニク女史の数滴の調味料によって磨き上げられた完成度の高さ,原石を丁寧に磨き上げながらも燦然と輝かせない “ 慎ましさに内包されたエレガンス ” は魔術的であると同時に疑いようもなく伝統的で、Hermes hommeが有する波のように穏やかな求心力で御座います故、手に入れた途端イニシアチブを握った感覚に陥るのは決して錯覚でも勘違いでも、ましてや夢なんかでは御座いません。禁欲的なネイヴィ色、指の平で感じる水牛釦の厚み、決然としたスプリングコートの出立ち。蜜月を重ねた所有者のみが得られる感動は、Hermes hommeの銘物をご提案のみさせて頂く我々が何度往復しようと決して到達できるものではない、デザイナーと顧客だけの『秘密』であると、2014年AFP BB NEWSの取材に回答したヴェロニク女史の笑顔に敬意を表し、弊店3着目の邂逅である本作をそっと見守りたいと想います。

 

 

 

 

 


Coming soon
90s Hermes homme balmaccan coat

 

 

 

 

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無口でありながら雄弁 / Diary668
6.2.2019


Hermes Homme における彼女の創作指針として、時代を超えることのできる品であると共に選ぶ人, そして身に着ける人の元々持つ魅力に “ 寄り添い、かつさりげなく押し上げる ” という考えがございまして、不変性であったり時代に呼応した個性であったり圧倒的な品質で表現されるのですが、いずれも触れ合ってみると感覚的にも体感的にも味わうことのできる物静かでありながら明確な意思を感じさせてくれる指針の実体化でして、時に普通のニット帽子, 起毛のカシミアテーラード, 総羊革のシャツで現わされるそれらにおいて、一見不変的なようで裏を返せば大胆不適な姿かたち、かつ綿密で創造的な構築が付与されている一着が視るものに与えてくれる、頭が混乱するような摩訶不思議で革新的な矛盾という喜びたるや。

 

 

 

 

 

 

1990年代に生まれた本品は、編みの表面にその輪を露出させることによって表地が裏地のようでありながら、その実両面に同等の施しがなされた穏やかにこだわりぬかれた生地と、古き良き米国文化をそのまま踏襲した装飾を身体に寄り添わせた時にゆっくりとだが確実にモード本場の匂いが嗅覚器の感覚細胞を刺激してくれる粋な構築と、柔和な白の不変的な肌着類の姿かたちでありながら、たっぷりと織り込まれた綿による見た目からは想像しづらいもったりとした重量感によって、無口でありながら雄弁という論理的には矛盾している, しかし存在としては矛盾していない、それこそ不変的でありながら圧倒的な品質による一種の “ 普通 ” によって身に着ける人に寄り添い本当に本当にさりげなく底上げしてくれる一着に仕上がっているのです。私は本品を肌着類のスウェットに留まらずニットとも形容しがたい極めて不思議でそれこそ革新的に矛盾しているシャツの一つと捉えております。

 

 

 

 

 

Coming soon
90s Hermes pile shirts

生地、構築、重量感からなる波状表現を締めくくるのは大胆不敵で美しいヒッポカムポスの刺繍。ギリシャ神話におけるポセイドーンの相棒を、一見すると不変で “ 普通 ” でありつつも穏やかにこだわりぬかれた無口でありながら雄弁な姿かたちの背中に置くという、これまた単純明快に無垢に愉しい こうでなくては な一着です。

 

 

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自由な精神 / Diary667
5.2.2019

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が僭越ながら勝手に尊敬する人物の一人が自身の属する世界に対して, その分野を愉しむ人々に対して, そして自身の創作に関して以下のように語っています。

 

すごくマッチョな社会

厳格さとでも言うべき部分

自由な精神を持った男性が格好良い

1シーズンで消費される服を創っていない

 

1837 年に設立してから品を創ることに対して向き合い続けることで世界観を構築した そこ はモードの世界に属していながらもそれと一線を画す価値を有し、ある種一人の人間がどうするか否かが論点とならないほどの大きな一つの仕組みとなった存在でして、彼女がその一種の “ 入れ物 ” における紳士服部門の責任者に任命されるのは 1988 年、入れ物ができて約 150 年後のことなのですが、彼女は一貫して変わらぬ姿勢で現在に至るまで 30 年以上創作活動を続けています。
入れ物と比べるまでもなく無に近い経験値しか有さない不肖な私ですら “ 続ける ” の大切さと難しさは頭から離れることはありませんが、なにかを継ぐことはまったく体感しておりませんで、しかしながら永く続いた入れ物を継ぐという決断と進行に対する一種の恐怖心は想像できますが、彼女は永く続いているからこその技術力, 豊富な選択肢, そして在り方を受け止め自身で表現するという生業と行為を愉しんでいるように感じられます。

紳士服には不変性が大きく関わるからこそ芳醇で、ゆえに男性は年齢や国や時代に捉われない独自かつ自由な精神を手に入れることができている。ファッションにおける革新に出逢うことでその精神に新たな一面を見出すことができる。人の精神性の推移に興味があるからこそいつ振り替えっても恥ずかしくない, 1シーズンで消費されることのない, 時代を越えることができる品を創る。彼女を掘り下げることで私はそのように考えていることを知って心の底から感動し、尊敬する の引き出しに彼女をしまいました。私が尊敬する人物の一人は Hermes Homme デザイナー Veronique Nichanian です。

自身の冠で世にでること  それはとても意義あることであると共に勇気を有することであり時に素晴らしいことですが、それを踏まえたうえで私はそれが全てとは想いませんので、彼女が 30 年以上 Hermes という入れ物で Homme に携わり続け、自分にとって最善の場所であると明言することは心の奥底から最上の熱量で素晴らしいと感じます。社会に属し始めて間もない頃、私は “ 年に一度 HEMRES で買い物をする ” という至極好都合な褒美の仕組みを敷いて何年もそれを愉しみに生きておりまして、初めての品がニット帽子だったのですが当時は友人知人に そんな普通なニット帽なのに と酒の席で失笑されておりました。が私は今でも大切にそれを愛用しておりますし、友人知人の中には近年になって Hermes を手にする人も現れておりますので、私は彼女の考える 時代を越えることができる品 を信じておりますものですから、かねてから弊店では Hermes Homme を他と同じく特別な存在として御提案致しております。

 

 

 

 

 



Coming soon
late 90s Hermes, tuareg artist’s handmade buckle belt

ようやく近日の御披露目まで辿り着きました Hermes Homme の品々。上記は厳密に申し上げますと彼女とは異なる部門の一品ですが、入れ物として同じくであり分野として同目線ゆえに弊店ではその世界の一つとして僭越ながら御提案させて頂きます。

 

 

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ORIGAMI / Diary666
3.2.2019

 

 

 

熱度をもって商品のご説明をさせていただく度、対象個体に対する蒸気がぐんぐんと上昇して往く不思議は、ヴィンテージに限らず販売員すべての方に共通する事柄ではありませんか。どうでしょう。ことKarim Hadjabが表現するKARIM HADJABという作品群にとって謂えば “好き” が明確化して往くどころか “愛” が深まる一方、 “情” に近しい感覚を抱いてしまうもので、あるいは1年間の自然淘汰を経て生を受けた “個” それぞれに対する純粋な “関心” が強まります。ラックに掛かっているそちらがグリーンで、君がピンクで、なぜあなたがブルーなの。それが個性というものですか。

 

その関心事ないし興味心、総じて疑問、というのはKARIM HADJABの作品群を街でお召し頂く際、周囲から寄せられる種類のそれらと等しいように憶います。この人のジャケットはなぜ不思議な色をしているの、どうして煙みたいなデザインなの、自分で直したのかしら、美味しそうなワイン色だわ。然りです、それが個性というものでしょう。

 

ん、どうして煙みたいなデザインをしているか質問に答えようか、それはね、折り紙のようにこの服を折り畳んで1年の間自然に置くんだ。自然というのは草や木や森や土や水やそういった意味の自然だよ。そのまま触れないで待つんだ。インスタントラーメンの3分が少し長いようなものさ。そして1年後に収穫したらこんな模様になった。素敵だろう。

 

 

とフレーズを謂えたら素敵なあの子も納得してくれる、事を祈るしかないKarim Hadjabが表現するKARIM HADJABで御座いますが、勿論わたくしも混じりけの無い敬意をもって氏にもクリエイションにも向き合わせて頂いている中で、衣服本質的な内容にピントを合わせ続けているのはクリエイションを経験する前の段階においてもクリエイションを経験した後においては尚更、それぞれがあまりにもプラクティカルであるから好きと愛と情が上昇して往くのですが、そちらがグリーンで、君がピンクで、なぜあなたがブルーで在るかなんて創作過程を理解できれば理解できるのは当然ですし純粋な着眼点として目に映る例えばグリーンとピンクとブルーが自然記憶色だとして、美しいと憶うこれも純粋な美覚による関心事ないし興味心、総じて生まれた強い疑問も、なぜこの画が美しいか入り込み,沈んでいく姿とおそらく等しく、決してアートではありませんし疑いようも無く無垢な “ 服 ” でありますし裸の衣で御座いますし、それは永久に変わる事はない平行線の真実で御座いますが、自然創造物という観点からこれも紛れもなく “ 創作品 ” である事実と平行して、それぞれは詰まるところ “ 人である ” とカリーム氏が表現している事実(は置いておいて) “ 創作品を着ているわたし ” と “ プラクティカルな服を着ているわたし ” の双方を、相合わない内容かもしれないと常に後者を優先して参りましたが、折り紙のようにこの服を折り畳んで1年の間自然に身を置かせた新法は、容赦のない黒々しさと陰影を配したモノトーンによる異世界。ウェイタージャケットの肉感を、風の運びに任せる煙のようなマテリアルを、螺旋のようなテキスタイルを、緊張感のある線の拘束を、創作品として深いところまで見蕩れてしまい、わたくしが大事にしているプラクティカル最強論を空まで突き破り、粘着性をもって心に張り付いてくれました、ORIGAMI 4Saison。
いやそれにしても、折り跡を美しいと想えるとは、

 

 

 

 

 

 

 


Origami & 4Saison, black cotton waiter jackets

 

 

 

 

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KARIM HADJAB new collection / Diary665
1.2.2019

 

 

 

2019S/S pre collection
KARIM HADJAB new pieces
creation : Origami+4Saisons / Argile+4Saisons / 4Saison
base : 1940 – 1960s French work / 80s England

 

4Saison
 
Argile
 
Argile , tailored jacket
 
Waiter jacket

 

 

 

 

 



4Saison, base : 1960s French work moleskin trousers

 

 



Argile & 4Saison, base : 1950s French work shawl collar tailored jacket

 

 


Karim Memorial, Argile & 4Saison, base : 1950s French work cotton atelier coat

 

 





Origami & 4Saison, base : 1980s England levis emerald blue jeans

 

 


 

 

 

 

 

 


Origami & 4Saison, black cotton waiter jackets

 

 

 

2/2(土)12:00より。宜しくお願い申し上げます。

KARIM HADJAB new collection

 

 

 

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異彩な作品群 / Diary664
31.1.2019

発案から約 20 年間実行され続けている Karim Hadjab の創作区分 4Saisons は 1 年間放置という特性ならびに根本的な彼自身の意向によって、いわゆる SS や AW などの区切りに捉われることなく常に進行し数多の発見や失敗を繰り返し続けてきましたが、昨年に彼がフランス国内における創作者に向けた協議会にて賞を得たことにより北部のルーベという地区そのものからの支援体制を獲得し、拠点をそこに移したことによってどうやらまた新たな 閃き / 気付き に至ったようで、その後に逢った際には改めて目を燦燦と輝かせて創作意欲を語ってくれまして、どうやら今まで以上に 4Saisons の “ 面白さ ” と Argile の “ 本質 ” に文字通り憑りつかれているらしく幾つかの新作を御披露目してくれたのですが、それらは私にとってそれぞれの概念と原理は変わらないにも関わらず極めて極めて革新的であり、何より異彩でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長年にわたる試行錯誤によってこれまでも、普通に置くだけでなく大木に吊るしたり土に埋めたり、オブジェクトを配置して大地に寝かせたり 2 着を繋ぎ合わせたり風車の羽根に吊るしたりと様々な方法で実行されてきた 4Saisons ですが、彼は長年拠点を置いていたパリ中心地から離れ朴訥な土地と風と空気のルーベに心を置くことで、新たに Origami という手法を獲得しました。“ 自然界に置く ” という行為においてこれまで以上に特殊な作為性によって、品それぞれによって異なる豊富過ぎる 4Saisons の個性にまた新たな一面, 真に文字通り新たな一面が加わった結果となります。このような彼の閃きと実行力、“ 表現における躍進力 ” には素直に驚くことしかできませんので本当に頭の中を覗いてみたいものでして、もちろん A という問いを投げると話が飛躍に飛躍を重ねて D という答えが返ってくるなどの微笑ましい ( もしかしたら身近な人にとっては深刻な ) 点なども多々あるのですが、やはり Karim Hadjab による KARIM HADJAB は全て彼の正真正銘に純真無垢な尊い心と精神あっての存在ですので、彼がやりたいことをやりたいようにやれることを, やれる世界で在ることを引き続き心から願います。取り急ぎ現状においては彼のやりたいことが主に KARIM HADJAB の創作であり、その意欲によって新たな異彩が生まれたことを心から嬉しく想います。

新作群は御披露目してくれた時点で最新収穫であり、実験的取り組みが成功した結果のため厳選数となりますが御了承くださいませ。なおその中には Origami 4Saisons とは異なる新たな創作区分として Argile と 4Saisons を組み合わせた品がございます。彼にとってこの一着は本当に心に残る、それこそ新次元を予感させる一着だったようで、“ 欲しがる人が何人もいたけど、一番最初に SURR に判断してもらいたかったから断ったんだ ” と興奮しながら語ってくれました。ほら、カリームったら。もう本当に人たらし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Coming soon
KARIM HADJAB new creation, Origami 4Saisons and Argile+4Saisons

近日御披露目させて頂きます。

 

 

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まともではない作品群 / Diary663
30.1.2019

つい先日に過去6年間の社歴を振り返る必要がありましたので、様々な記憶と感情が錯綜しました。元々設立のきっかけが一個人が勝手に日本に存在しない感じた概念と文化を根付かせたいという想いであり、その現在進行形で変わらぬ想いを軸に服飾に関わる社会における ( いまだ分からないことだらけですので、あくまで自身の体感とそれに基づく推測ですが ) 慣習や風習, それら傾向, 予定調和や空気的なしきたりなどの優先順位を意識的に低くする, 意図的に排除する, と申しますか不要に想う考えを有しているがゆえ、いまだ私の親や兄弟は私がなにを生業としているか皆目見当が付かないように弊社はほとんどの方に知られていない、本当に まだまだ な小さな会社ですが、服飾に関わる社会における小さな会社として精一杯取り組んできたかと問われたら食い気味に “ はい ” ですので、今となって過去6年間を振り返ってみても濃密だったと申しますか、今となって考えても本当に類まれなる御縁によって類まれなる方々と触れ合い, 取り組ませて頂けてきているな と素直に想えますし、その中でも Karim Hadjab は誤解を恐れずに申し上げますと様々な意味合いにおいて 浮いているな と想いました。

私には両親以外にファッションデザイナーで 3 人、芸術家で 3 人、音楽家で 1 組。計 9 人の心から尊敬する人物がおります。もちろんまだお逢いしたことが無い方もおられますが、基本的に人柄にしっかりと触れ合ったうえで心の尊敬引き出しにしまうのですが、中には 10 年以上前にしまった方もいれば昨年しまった方もおりまして、それこそ一人が Karim Hadjab 。2018年5月のことです。 

 

 

 

 

彼ほど純真無垢な人物, そして表現における推進力を有した人物は本当に貴重だ と社歴を振り返っていて改めて想いました。服を放置するという行為は何度御客様に御説明していても口にしていて不思議な気持ちになりますし、愛用して幾年経ってもそれらはやはり誤解を恐れずに申し上げますと社会的な ( 大して知りもできておりませんが ) 存在感として異質な, まともではない作品群であると想うと同時に、だからこそ彼という人物が貴重であると心から想います。初めて自身の一着である 4Saisons のテーラードジャケットを手にしてから 5 年経ち、短いとは言え私自身にも心身ともに変化が少なからずあったのですが、必殺の一言 “ 付け髭です ” を会得した今でなおそのジャケットを着た時に想うのは “ 5 年前より今の方が似合っている ” という幸せな感情でして、それこそカリームからすれば 服は生きている なのでしょうが、私からすれば単純かつ無垢に 良い服だ という感想です。私はいくら服に出逢ってもどんな経験をしても想うのですが、上質な組成の品や理念や感性はいくら時を経ても色褪せるどころか輝きが増し、こと服飾に関しては身に着ける人の様々をさりげなく押し上げてくれるような存在であり、良いか否かは言葉も知識も必要がないそれこそ感性のみに基づくことができると。

 

 

 

 

 

なお、上記の紐付けに際しまして “ Karimへの想い / Diary540 ” は接続詞や単語を一部改正致しております。私は過去に行った事柄に時を経てから部分的な改正を加えることや時を経て改めて行うことに対して前向きでして、その考えは前述の 9 人のうちの 2 人である電気グルーヴから学ばせて頂きました。

 

 

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改めて宜しくお願い申し上げます / Diary661
25.1.2019

 

 

約2年と数ヶ月前にご紹介させて頂いた本作という事は約2年と数ヶ月の間、弊店空間の何処かで息を潜めているという事ですが、服飾に対する動物的嗅覚理論が正しければ動物的方々のアンテナに反応し得る個体ではないという紛れも無い事実はソッと置いておいて、息を潜めて何方様の御迎えをジッと待ち続ける御品は本作に限らず、上記事実の他にあとひとつ付け加えるならば、そういった品々が脚光を浴びてから時の経過と共に恐ろしく馴染んで往く光景,それはまるで纏う生命エネルギーや活気を自ら取り除き、存在性を消し、空間の一部であり全部となる擬態化現象を察知致します。そうか、おまえもキャラクターと成ったか。がしかし、だからこそ、悲しむべき事柄ではなく対象品々に対して謂えば其のままジッと待てば良いと心底想いますが、擬態化現象から解放される瞬間というのは謂わずもがな、温かな御手に触れて頂けた時で御座います。袖を通し、姿見越しに自らを映して頂けた時で御座います。息を吹き返したように本来的な資質がカラフルに色付く様子を捉えますと、決して失われない純真かつ絶大な強さに、都度、心酔致しております。だからこそヴィンテージは、

 

 

服飾に対する動物的嗅覚理論が正しければ動物的方々のアンテナに反応し得る個体ではない事実が揺るがないものだとしましても、本作に限ってはそもそも時流に添い続ける健気さもなければ、女性に愛されるシンボル性もなく、英国他社の広告力に隠れ、ファッションストリームから離れた場所を動かず、いつの時代も表舞台で脚光を浴びる日は来ないのだろうと此の様な機会の度、長考に帰しております。以上は紛れも無い事実かもしれませんし私の野暮な想像かもしれませんし、がしかし、いずれにせよ、いえだからこそ、本作に対して謂えば触れて頂ける温かな手をジッと待てば良いと心底想いますし、貴重なお時間を頂戴し弊店へ足を御運び下さる皆様はこゝろの琴線に触れて頂けた際にはじっくり御考察頂けましたら引き続き光栄に想いますし、本作と世界との隔たりが如何に巨大なものだったとしましても、決して悲しむべき事柄ではないと想いますのは天の邪鬼かつサイケデリックな性格故で御座いますし、研ぎ澄まされた個性を希求し続ける漢の性で御座いますし、“コットンジャケット” と “ポケット” をこよなく愛する私の高熱なわがままで御座います。そもそもとして、

 

弊店の総意で御座いますが、もしくは意思で御座いますし、主我で御座いますが、1924年から歩みを続けるBelstaff社に対する評価はとても大きく、あるいは服飾史を彩るメゾンハウスと全くを以て同じく、それは服飾史を支える重心部分,限定性や狭き目的性、総じて専門衣料の存在と発達は男性世界ゆえの色香であり、特有の引力が御座います。表舞台で輝くファッションシーンの形成因子を担ってきた紳士区分、声のボリュームを上げますが、Belstaff社の功績と軌跡と姿勢に対しては、恭敬の意を置かせて頂いております。

 

 

2016,3,26【素直になれ、自分 / Diary244】

 

 

 

 

 


 

 

トライアルレースの更新記録に挑むプロレーサーへ向けた製作事実と本作【トライアルマスター】の名ナンバー。防風と防水を実現するオイルドコットン、転倒時にも身体を護るエルボパッチ、運針強度、操縦時の快適性を目的としたアームフォルム。英国王室直属軍への納入品製造を請け負っていた時代と一致する60-70年代。以上が恒久性をもって名作と残り続ける事実詳細と憶いますが、弊店において誠に恐縮ながら特段立派な金額を設定させて頂いている本作は【パーソナルオーダー】成るオプションと個体偉力に尽きる事実追加、通常、前方4フラップポケットが定石のデザイングでありますが背面2カ所に追加オーダーされた計6カ所のコンパートメントは当時の注文主(ブリティッシュ・レーサー)によるオフィシャルオーダーであった事実痕跡で御座いますゆえ、大変リッチな金額と相成りますのは企業努力の足りなさと謂いますか、同社への心酔に尽きる評価と謂いますか。Belstaff社の刮目すべき躍動年代に製造された傑作に加わる世界唯一の御品という偽りのない情報はそっと引き出しに仕舞って下さいと常の文句も謂いきれない心情ながら、結局のところ染み渡ったワックスが風化していく様とコットンの発育性、木綿裏地の見事な配色美、ポケットは在れば在るだけ良いという単純明快なロジックを叶える収納席には例によって文庫本が入りますのでこれ以上の筆舌もなく、もしかしますと時流に添い続ける健気さもなければ、女性に愛されるシンボル性もなく、英国他社の広告力に隠れ、ファッションストリームから離れた場所を動かず、いつの時代も表舞台で脚光を浴びる日は来ないかもしれない本作トライアルマスターで御座いますが、がしかし、いずれにせよ、いえだからこそ、本作と世界との隔たりが如何に巨大なものだったとしましても、暑かろうが寒かろうが常に店内何処かで置かせて頂いている本作であり、此の様な機会に一度温かな御手で触れて頂けましたら心の底より光栄に想いますし、同社ハウスプレートの翼に込められた “ いかなる時代も困難を乗り越えて飛び続ける ” 意味性をソッと御査収頂きまして、皆様、改めて宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 

 





 



1960-70s Belstaff model “TRIALMASTER” , Pro – rider’s custom order jacket

 

 

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Waiter jacket / Diary662
29.1.2019

 

KARIM HADJABについて意は尽くされたように感じているのも正直なところで、これ以上何を御伝えすれば宜しいかわからない気持ちも正直に明かしますが、Karim Hadjab氏が表現するKARIM HADJABについて理解する事と感じる事は恐らくイコールでは結べず、自然環境下へ1年間野ざらしにしたとしても、黒泥で染め上げたとしても、クリエイションの発露や過程や運びや収穫へ絶大な理解を得れたところで其の先へは辿り着けないような深さを感じるのはKarim Hadjab氏の感覚が日々更新されているような気配と、実際的という言葉に勝る概念的性質があまりにも強烈だからか、そうはいっても偏に【ブランド】を司る【デザイナー】としてのメッセージ性は皆無で、結局のところ彼は只一向な【表現者】であり表現者による【表現】であり、人生の半分を越えた一人の男性であり、我々はクリエイションを獲た1着から温かな何かを掬い取れなければ “ 完璧な個 ” として対面するには不足で “ 善 ” まで及ばず、そして出来うる限り深いところへ往こうとする試みはKarim Hadjab氏が表現するKARIM HADJABを買わせて頂く弊店として宿命のように入り込まねばならない拘束性ではなく、何かこう、「ヒト と 服」のようで、様々な情報やファッション的感覚によって肉付けされない無垢物のような、根底的で、本質的という事ではなく、決然としたヒトとの絆のようで、いえむしろ「服 と ヒト」のようで、あるいはファインジュエリーにも相通じる人生的マテリアルなのだろうと心を鷲掴みにされた熱は、約3年の間も色あせることなく温度を保っているという事です。となるとやはり未だ未だで御座いまして、未だ未だ意は尽くされておらず、感じた何かを御伝えし続けなければなりません。

 

さらに謂うと(個人的な感取ですが)クリエイションの発露や過程や運びや収穫への理解はファーストシーズンの際にそっと置いてきまして、こういう御伝えの仕方は会社に属する人間として良くはないと知りながら、KARIM HADJABの名やクリエイションやどのような時間を経た1着であるかは副次的情報として引き出しに仕舞って頂き、純真な衣服として長期的関係性を築いて頂きたい想いも、約3年過ぎようと少しも変わりません。それほど生命力に満ちた衣服と想います。只一向な表現者であり人生の半分を越えた一人の男性が,Karim Hadjabという感性が美しいと憶う事柄を信頼でき、到達できない距離を感じ、心に温かい何かを感じる説得力は、衣服に対する揺るがないほど強固な “ 愛 ” が、Karim Hadjabという男性にはあるのだと、わたくしも人生の三分の一へ向かう一人の男性として想いを寄せております。

 

 

また本日に加え、Diary539〜546番の連続8回に渡ってじっくりと綴らせて頂いた昨年の梅雨時でしたが、昨年Them MAGAZINE様のKarim Hadjab氏へのインタビュー記事における結びの16行に、すべてが凝縮しているように憶えるので、改めて引用させて頂きたいと思います。

 

 

 

 

これまでずっと、Karimはファッション業界におけるインダストリアルな性質から逃れようとしてきた。その考え自体は、「Tokyoite」を運営していた時代よりもっと以前の、彼が生まれ育った環境にも紐付いている。Karimが育った地域にはアフリカからの移民が多く住み、劣悪な労働条件の工場で働いていた。そんな環境に身を置いていた幼きKarimは、生地工場や縫製工場など工業的なシステムに疑問を持って育った。それが「服を新たに生産する立場ではなく、道にある服を拾って、あるいは見つけてきて、それと向き合う」という彼のスタイルに根付いているのだ。ベースとなっているヴィンテージの既製服は、いわゆるメゾンのような高級なブランド品ではなく、もっと安価なものだという。捨てられてしまう美しくない服でも、泥で洗い草木染めを施すことで、美しいものへ変貌させることができる。価値のないものに新しく価値を吹き込むそのクリエイションは、リサイクルという観点でゴミの多い消費社会へのアンチテーゼにもなっている。
「多くの既製服は、機械で生地を生産し、流れ作業で縫製され、終始インダストリアルな環境で完成し箱に詰められて売り場に送られてしまう。そのような作り手の心の通っていない服作りはとても嫌なんだ。着て美しいだけの服には興味がない。私の服はいつも着る人に寄り添い、風に揺られて、鳥の声を聞いて、たまには雨にさらされて。そのようなあり方がとても大事なんだ」

 




 

ところでr1950年代〜1960年代ミッドセンチュリーに呼吸をしていた「Waiter jacket」御存知でしょうか。当時レストラン等で給仕をするギャルソンが好んで着ていた通称ウェイタージャケットは、年代や製造ハウスによってばらつきはあるものの、浅めのダブルブレストに集合的な4つ釦、フラップを入れ込んだようなポケットの形式に(御釣りやチップの出し入れをスムースに行う)主張性のないピークドラペル、運動性と気品を守る緩やかなアームの前振り、木綿構成のテーラードスタイル。以上のマテリアルを具したコットンテーラードがあまりにも、そう,あまりにも優秀なもので、足を御運び下さった皆様へ広く広くご紹介をさせて頂いております。ミッドセンチュリー傑作のひとつです。おそらく打ち込みも密がない綿生地と謂いますか、しかしながら振るうと恐ろしいほど濃厚な音を奏でるものですので音方式で参りますと勝手ながら天然木綿の上澄みとして判断をさせて頂いております、が、ゆえにと謂いますか、これも真実のひとつとして御査収頂きたいのですが、先ずは半年程サイクル良くお召し頂くと、掴んだり着たり脱いだり触ったりもう一度掴んだりの連続によってか、しっとりと蜜を吸わせたようなテクスチャーを獲得して参ります。艶艶しいというか瑞々しいというか。活性されるいうか。どう考えても “しっとり” で御座います。これはKARIM HADJABのクリエイション上の特性かベース個体の木綿性質かは不明で、身体の油分や湿気による生地昇華と憶い、水で洗うとガサッに戻ります。そして迎える木綿の軽やかさと強さと機動力は丸めてcarry a jacket出来るうえ、芯もパッティングもないアンコンストラクテッドの構成ながらダブルにピークドラペルの能力は島国を出られる際にも存分に魅せて頂ける事と存じますのでトラベルジャケットとしてご年齢問わず推奨をさせて頂いております。そのようなわけでご用意させて頂いているホワイトピンクとオリーブ、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

 

 


KARIM HADJAB “4Saison” base,1950s cotton tailored jacket

 


KARIM HADJAB “Argile” base,1960s cotton tailored jacket

 

 

 

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ファッションは愉しくなくてはいけない / Diary660
23.1.2019

こちらでも綴らせて頂きましたが私は “ 停滞する ” ことに強い危機感と違和感と、もっと言ってしまえば嫌悪感と恐怖心がございますので時間を見つけては街を彷徨い刺激を求めるようにしておりまして、やはりこの生業ですので自身への服飾目線でのそれがどうしても多くなってしまい 2019 年においても変わらず行動しているものの、今年はまだ何にも出逢えておりませんで非常に心が寂しいのですが、彷徨い歩いている時は折に触れて, そして SURR などの空間にて御客様方と過ごさせて頂いている時には本当に常に、心の奥底から強い感情 ( ある種の願いに近しい ) が単純明快な表現にて湧き上がり空間に噴出されます。やはり ファッションは愉しくなくては

そう、愉しくなくてはいけません。ファッションは愉しくなくてはいけないのです。この点は理論性も論理性も不要でそう感じるか否かの感覚のみでして、私は何かを伝えたい時や表現する際に活字を用いることが多いのですが、しかしながら, いやだからこそ感覚を主軸とする御方に対して以前より大いなる羨望心を抱いておりまして、とはいっても人には得手不得手と適材適所がございますので今となっては正々堂々活字を用いておりますが、やはり変わらず感覚主軸の皆様方は憧れの的でしてその感情はこれからも変わらないと想います。いるのですよ、野生動物のような方々が。純真無垢に心から尊敬致しております。

しかしながら ファッションは愉しくなくては という点に関しては私にとっても感覚のみですのでそう言葉にさせて頂いている時はなんとなし心が若返っているように想えるほど, そもそも想うこと自体が愉しい感情でして、旅の道中でも新たな出逢い, 驚き, 唸り, 時に斬新過ぎるがゆえに笑いなど、沢山ではないものの何度かそれらの感情を味わえる旅の度に “ そうそうこれこれ。やはりファッションは愉しくないと ” と心の奥底にいる純真無垢 ( と願います ) な福留 健太がひとりごちるのです。この度御提案させて頂きますのは前述ですと最後にあたります 斬新過ぎるがゆえに笑ってしまった 一着です。

 

 

“ E だ。E と∃ だ ”  この愉しい愉しいポケットに想わず笑ってしまい、またも怪しいアジア人の風体をパリの街で晒してしまいましたが、愉しい感情は致し方ございません。1960 年代にフランスにて構築された本品は元々着飾るためではなく広義においてスポーツやレジャーの分野に属する衣類ではございますが、しかしながら, いやだからこそ注ぎ込まれたそれらは、だからこそ純粋に強い求心力を獲得するのだと想います。そもそもとして合理的ですし無垢な美しさを有する形状なのですが、私は遊び心 / 傾き心として感じてなりませんで堪りません。“ こうするとポケットが E になるな ” “ そうしたらこっちは ∃ だな” “ “ HA HA HA ” ” というやり取りは無かったと想いますがその可能性がゼロではないところ、夢想を許してくれるヴィンテージの懐深さ。余談ですが、∃ は〇〇が存在することを示す “ 存在記号 ” という種類だそう。GOOGLE で調べましたが解説を読んでも頭が微塵も理解受け付けてくれませんで、またもや無学に散りました。来世精進致します。

 

 

 

 

 

 

 

60s French hunting jacket.

目的性が狩猟らしい可動域ですが、構築に際する丁寧な心配りを全方位に感じられる仕立てから美しい立体感による丸みが飛行機乗りの羽織りを連想させる研ぎ澄まされた洗練性を、それこそ 御愉しみ 頂ける一着ではないかと存じます。引き続き手前どもは “ 小売店舗 ” であることの誇りを胸に、収集用としてではなく資産としてではなく着て愉しむためのもの, 愉しいという感覚を抱くための服飾品の御提案に精進致します。

 

 

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探し物は見つかりますか / Diary658
21.1.2019

 

わたくし目に視えるものしか信じない頑な性格の持ち主ですので多神教な此の島国において見守って下さる神様も居なければ風の噂なんかはグレーゾーンに敷いてる情報編に引っかかり、そうはいってもオドロオドロしいカテゴリーは2度ばかり目に致しましたので気が触れていなければ有り難い経験で御座いましたが、例えば占い、というスピリチュアルな未来予知体験などわたくしの稚拙な頭脳で振り絞ろうと理解に到達できるフィールドではない、と確信しておりまして、食わず嫌いと謂いますか、それは経験したことがないから然うなのではありませんか、と問われれば全く以て其の通りでして、実のところ当たる当たるとわたくしの狭い世界で囁かれている其の御方に自身の近未来を視て頂きました。正月明けの事です。

 

 

なんでも九紫火星という九星の一つのようで、憶えているのは2019年は2月3日から恐ろしいほど運気が良くなるという事、こちらから動かなくとも女性の方から歩んでくるという願ってもない情報を頂戴、人生本当に生きてて良かったと頑な性格が崩壊した瞬間で御座いましたが、前方だけではなく四方八方に注視しなければなりません、さもなければ秋頃に女性関係で失敗をしますと謂われまして、ゴクリと唾を呑み込みました。今のところ歩んで来られる女性の影すら見当たりませんし、帰り道は後ろを振り返っております。

 

さらには “探し物が見つかります” という嬉しい御言葉も頂戴し、占いも悪くないではないかと街の中華料理屋で一杯やりました。私事が多い連日で何かと恐縮しておりますが、探し物というのは更新というサイクルではなく常に不動かつ追加される希求物でして、すぐに見つかる物はリストから赤線をシュッと引けるのですが、そう容易く往かぬ物ならばリストの上の方に取り残されるもので、グレーゾーンに引っかかる情報網もせっせと手繰り寄せております。

 

 

 


 

リスト上の方でインクが薄れている項目その⑴ キャップトゥダービーのブーツで御座いますが、キャップトゥであれば良いという話でもなく街履きとして最適なダービーでなければなりませんし足首を護る7ホール以上のブーツスタイルでなくてはならず、先日此方で綴らせて頂いた雑記と同様、【道具】と【旅】というキーワードないしポテンシャルを無意識的に求めている希求対象に圧倒的確信をもってピントを絞っているキャップトゥダービーのブーツで御座いまして、履き物としては硬い石畳のうえでも容赦なく音を鳴らせる屈強物である必要と長い長い旅であれば時間経過と酷使にも耐えうる頑丈物でなければなりませんし万が一の事態にも修理が効く応力に加え、深いトラウザーを履きさえすればレストランでワインも頂ける懐なんてネガティブ要素がまるで御座いませんで、キャップトゥという特性とダービーという快適性とブーツという防御性を街の中でたっぷり可愛がれるデューティーギアをポジティブに捉えない理由など、見当たりますか。

 

 

 


 

わたくしが敬愛して已まないJ.M WESTON社の個体御縁とも相成れば本日のDiaryを綴らせて頂かない選択肢も見当たりませんで、探しても探しても探しても見当たらない同社提案のキャップトゥダービーのブーツはグレーゾーンの情報編にかかっている希望すら持てず、手繰り寄せてもミドルグレーなもんで、歴代作品の揺り起しも見られる(気がする)現在の同社提案にひっそり期待を寄せてはおりますが四方八方に注視しながら残酷なほど機会すら得られず、わたくしの中では幻の履き物に昇華されている其の対象物とはいえ、ただひたすら運がないだけかもしれません。履いた者にしか解り得ない足首周りの心地よいホールド力、パッケージのようなショートノーズのコンパクト感、端正に打ち込まれたブローグ、1970年代革質の艶かしさといったらブラッシングとキメの細かい布巾で拭うだけで瑞々しくとろけるような質の感を得られる様子にいつもながら完敗しておりますが、正直申し上げると磨く行いや“光らせる”行為を好まないわたくしはドレスシューズ不適合者の印を押されそうで、そもそも【道具】の意味性が完璧な落し所なもんですからキメの細かい布巾でも拭えない性癖という事で前を向いておりまして、雨だろうが台風だろうが花粉だろうが地に足を付けて進んで往けるフランス同社の履き物に深く深く感謝している常日頃と、いつぞや身を投じようと考えている世界への厳しい旅に持って往く履き物をただ1足と決めているキャップトゥダービーの其のブーツが、フットワークが軽快なショートブーツであれば、J.M WESTON社の御作りで収まるならば、街の中を力強く踏み締めて往けるならばと強い意志を貫いて参りましたがつい先日、8ホールのブーツ獲得に至りまして、キャップトゥではない妥協点を上回る性質を感取した(気がした)もんで一応安心したつもりでおりましたが、本作との出逢いによってリストの上の方で薄くなっている横文字を太書きする事に致します。占いの先生、探し物は見つかりますか。

 

 

 


70s J.M.Weston cap toe short boots

 

 

 

 

 

 

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ヴィンテージの個とモードの個 / Diary659
22.1.2019

服飾史には永い歴史がありますので当然の如くいち人間が全てを見つくすこと, 網羅することは叶いませんがゆえに、向き合い続けることで初めての逸品に出逢うことができるという現実と経験に基づく事実が、私にとってヴィンテージの世界 / アンティークの世界に魅了され続けている大きな理由の一つで、今回の一着もその心躍る出逢いでした。ミリタリーにおける細分化の一つにドレス ( =礼服 ) のという区分がございまして、式典参加時における正装的な意味合いから人前に出るという広義的な意味合いまで様々在るなかでの本品は後者に属しまして、そもそもの存在としては認識していたもののミリタリースタイルとしてのそれに一個人的な印象としての現代性を感じておりませんでしたので、これまで幾度か出逢ったとて皆様に御提案することはございませんでしたが、ある日の英国で出逢えたそれは私にとって初見であると共にそれまでの非選択材料を凌駕する要素にて構築されておりましたがゆえ、このように初めて皆様に “ バトル・ドレスジャケット ” という種別を御提案させて頂くことが叶いました。

 

 

 




それまでに私が認識していたものとは明らかに異なる襟の形状とポケットの位置によって “ ミリタリーにおけるドレス ” から脱却した良い意味での一般的な衣類の装いに加えて、王室直属の冠に相応しい素朴で上質な素材の選定と所属部隊における象徴色調である青みがかった特殊な灰色。ヴィンテージ / アンティークの個とモードの個を “ 重ね合わせる ” という行為ならびに捉え方には極めて繊細な課題がございまして、容易に叶うこともあれば安易に行うことで双方のあるべき魅力を打ち消しあうことになりますし、時にそれぞれを切り離して考える / 捉えることでそれぞれを直線的に味わうことができるという愉しさがございますので 適正かつ適宜に, なにより安易に行わず の指針を大切しておりますが、 こと本品におきましては元々の英国式バトル・ドレスジャケットが持つ特性に前述の要素が調和することにより、私にとって明明白白にモードな一着と相成りました。なお、属性としては英国軍王室直属空軍のバトル・ドレスジャケットとなるのですが、私のような若輩者が初見ならまだしも元々所有していたその道 30 年のミリタリーヴィンテージ専門家様が初見というのは大変に珍しいことなので、氏がそれを物語る際に子供のように無邪気な眼をしていたことがとても印象的でした。

 

 

 

 

 


50s British royal airforce , battle dress jacket

ミリタリーにおける礼服かつ王室直属の背景とあってそれこそ明明白白に由緒正しき仕立て職人による一着ですので、紳士服的観点における純粋な美しさを第一印象に、純粋な紳士服としてのモードな個として捉えて頂けましたら幸いです。余談ですが 1/14 にミラノで行われたランウェイにて、私が現代のファッションデザイナーとして心から尊敬する二人のうちの一人が発表した中に本品を彷彿とさせる装いがあり嬉しく想うとともに強烈に心打たれました。取り急ぎ 2019AW にも愉しみができ一安心。

 

 

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福音 / Diary657
20.1.2019

 

 

 

論を持たずして無意識的に自然希求してしまう有機物、ないし遺伝子学から解き明かさねば理解に苦しむほど大好きがとまらない限定的な事柄、皆様もお有りかと存じます。女性のレッグラインかもしれませんし、ピークドラペルのダブルブレストかもしれませんし、南米産カブトムシの角のフォルムかもしれませんが、わたくしの場合、木綿という繊維で御座いまして、コットンというお素材に拘束されて幾らか時が経過しました。天然木綿の上澄みを求めては推し量る術のひとつに、それを上下に振る→音を聴く作業を守っておりまして、名の通り世界最高密度を誇るヴェンタイル社の其々を知った辺りからだと記憶してますが、そもそも朝の歯磨きと同じようにルーティーンとして組み込まれている マイジャケットを上下に振る は、スッと上昇させバシャっと振るう正確無比なダイナミズムに達することによって繊維の隙間に空気中の酸素を取り込み呼吸させ、昨日の気持ちをサッパリ落とす、本日をスッキリ迎える、ような気になるので危ない事に習慣化しております。密度が濃いほど世の中の擬音では表せないコクのある音が鳴りますので、ヴェンタイル社の其々にとって謂えば、いつの日か書かせて頂いた気もしますが日本テレビ様の「音のソノリティ」にフォーカス頂けるのではないかと確信に近い想いを温めておりますもので、しかしながら必ずしもコクのある音は密度に起因しない、という結論を得てから3年、イギリス軍コールドウェザーライン(これは密度)や、陽光と水と大気を連続的に得てきたフレンチワーク、KARIM HADJAB自然個体が見事に証明してくれました。それぞれ音の高低や質は違えど、空気中に振動する奥行きは確かに存在していて、“コクがある音” によっていつの間にやら木綿の善し悪しを判断しているわけです。そもそも語弊がある気もしますが、論を持たずして無意識的に自然希求してしまう事柄は、繊維というより記憶に浸透する木綿の “音” かもしれません。

 

 


 

これは謂うなればわたくし個人の論の裏付けがない術と癖で御座いますので、コクのある音が鳴ならない真実も素晴らしき木綿かもしれませんしコクのある音が鳴らないが上の質を有する木綿達の真実をコクがある音が鳴らないもんだから振るいにかけられる木綿達の気持ちになってみればたまったもんじゃない。わたくしの気が触れているのかもしれません。そういうことで香しき御品との御縁が相成れば眼鏡をずらせながら上下に振っているわけですが、あまりにも音にコクが存在しすぎるとポリエステルとかナイロンとか少し混在しているのではあるまいかと(全く以て良いのですが)表示証明や専門機関による素材検証の終了までしつこく疑惑を持ち続けるわけで、答え合わせがコットンと判ると其の純真さに嬉しくなる気持ちよりさらに先の疑問が生じるので少し苦しく。では一体、この濃厚なコクはなんだ。

 

 

 

その苦しみと同居する “あまりにもコクが鳴る木綿” を勝手ながら上澄みと判断させて頂いているわけでありまして、それは謂わば “音の旨味” で御座いますし、幸せを運ぶ “福音” とも捉えております。

 

 

 

ところで90年代中期〜2000年初頭に視られるHelmut Langの無機質な力強さを想起させる本作イタリハウスは弊社にとっても初の獲得に至りまして、服本来の力をストレートに御感取頂きたい想いから店頭にて琴線触れて頂けた皆様にアナウンスをさせて頂く運びを取らせて頂きます。勝手をご容赦下さい。ミリタリーが基底と成っている実相もやはり上記ハウスの想起点となるのでしょうが、無機質には終わらせない足し算の美学を心得ている凝縮性と真に迫った創り込み、服本来的なエネルギーを螺旋のように纏う単一的かつ沸騰したパワーは本作がUOMOである事実のみでは決して裏打ちにはならない 芯 が御座います。資料には書かれていない設計美と防風性の獲得は立体的かつ精力的に持ち上がるネックの高さに結びつき、フォルムのストイックな変化を愉しむより身体に追随させる2カ所のドローコード、ロマンティシズムへは触れていないプラクティカルな実践的精度の異常な高さ。観覧用ではなく、着て動かねばなりません。ディタッチャブルな近代性は無視、傘を持たない一部のヨーロッパ習慣に必要とされるフード / パーカーというファンクション、Royal navyの名作を掬い取った背面上部の景色と、1940年代米空軍Air crewの最高傑作を全的に従えた渾身のフィールドバックは、コンセプチュアルと判断するには調味料が足りない素材本質的の旨味、時間経過を危惧したところで決して失われないノーブルな香りもブラックコットンのみの特有性と憶いますし、ビックフォルムの提案ではない洗練されたフィッティングバランスへはとても大きく心を動かされまして、アウトドアまでギアを振らせていない制御点、資料性、本域的であり都会的であるプロポーションへ辿り着く恐ろしいほど見事な 福音 は、スキニートラウザーにバサっと羽織るミラノのティーンエイジャーが浮かべばナポリのダンディな髭面が腕を張らせて着ている想起点まで、つまりは都会に活きる強烈な匿名感取とリアリズムを成功させた純真の 街着 が結論で御座います。ジップを上げる度、フードを被る度、着脱の度、転んで起き上がる度、幸せが運ばれることを願いまして。

 

 

 

 





 

 


early00s Italy mason UOMO high-quality cotton short coat
base, late40s US military air force crew N-3 parka

 

先週の「音のソノリティ」は宮崎県日向市、蛤碁石の手摺りで御座いました。バックナンバー共にオフィシャルサイトで視聴できますので宜しければ。ちなみに本日夜21:00放送です。

 

それでは皆様、素敵な週末を。

 

 

 

 

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Duty selection / Diary656
18.1.2019

 

 

【Duty selection】
1/19(土)12:00〜

 



New arrival, 1981s British military royal airforce “MK3” short jacket

 


New arrival, 50s British military royal airforce wool jacket

 



New arrival, 70s J.M.Weston jodhpur boots

 


Right / New arrival, 70s J.M.Weston cap tow boots

 

 

 

 

 

 




New arrival, 60s British military royal army combat jacket “ BERLIN ”

 




New arrival, 50s French work corduroy trousers

 



New arrival, 80-90s Hermes corduroy trousers

 

 

 

 

 

 



New arrival, 60s France black corduroy hunting jacket “ 7 Pocket ”

 




New arrival, 80s Gianni Versace gray corduroy set up “ couture label ”

 


New arrival, 80s French military field jacket over dye

 



New arrival, 50s British work railroad wool tailored jacket “ BIG POCKET ”

 



New arrival & Special , early00s Italy maison military style high-quality cotton short coat

 

 

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無心の連続と / Diary655
17.1.2019

 

 

弊店に足をお運び下さる皆様へ“此れがお勧めで御座いますなぜならば”と、ご挨拶の次に没入モードへ転化する瞬間というのがたまに御座いますが、本来的に皆様がご自身の琴線に触れて頂けた御品とじっくり向き合って頂ければ光栄に想いますし、嬉しく想いますし、如何なるきっかけだろうとそのような人と服飾、つまりは “個と個” として御対峙を頂く事、僭越ながら勝手ながらお願い申し上げておりまして、有り難く嬉しく想いまして、ご自身の感覚体に直接的に訴えるナニカや、目で追い、手で触れ、身体で受け止めた理由のないナニカが脳内でくっきり収まりましたらそれは紛れも無い 個性 と相成りますし、疑いようも無く貴方様自身の形成と憶い、つまりはその感覚や嗅覚というのを何よりも御優先頂きたく、そして貴方様の個を何よりも尊重頂きたい想いで僭越ながら勝手ながらそのようにお願いを申し上げている所存でありますが、ご挨拶の次に没入モードへ転化する瞬間が訪れるのは謂わばわたくし自身の抑制の効かぬエゴで御座いますし、“口を閉じていろ小林”と言い聞かせも効かぬ性癖の深いところで御座いまして「なぜならば、」の次に来る言葉は大体を持って貴方様にとても良くお似合いになられると憶います、と続くものですから説得性の欠片も無く、1月17日晴れの日、終着駅のない雑言で御座いました。

 

 

 

 

 

考える事を意図的に止めた時、より鋭敏に嗅覚や感覚体が単純化する気も致しますので、フリーダイビングに倣って脳を空っぽにし精神を研ぎ澄ますよう努めて参ろうと買い物箇条のひとつに加えております。ヒトの身体ひとつで垂直に潜り距離を競うプロダイバーは静寂と光のが届かない闇に支配される環境で、水中は脳が最も酸素を消費するらしく頭で秒数を数えることすらしない圧倒的極致の中では自身が赤ん坊になった感覚や、星の体内に居る感覚に包まれるようで、生命への強烈な尊敬を感取するお話を耳に致しました。厳しい鍛錬の末に得られる未知の経験を獲得するのみでも一回性の人生において途轍も無く贅沢な事柄と憶い、わたくしもやってみようかと憶いながら泳げるところから始めねばなりませんので厳しき道のりになりそうです。エベレスト登頂や自然への挑戦も同じような貴重体験なのでしょうか。ともあれ、感覚体の単純化、または感覚体の純化という積極的な試みは衣服への尊敬を獲得する上で大切な要素な気も致しますので、息はとめずとも無心の連続を心がけております。そして無心の連続の中で手に留るだいたいは例によってタフギアで御座いまして、おまえは似合わんよと店主に一瞥を頂く機会もそう少なくないのですが無意識性の中に発露する僅かな意識を掬い取ると視える、衣服基礎的の強さ、衣服応用的な懐、本質的な実践力に引き寄せられている自身は「タフ」という特性に対する「憧れ」に近い性質に支配されている真実もあるのでしょうが、もっとシンプルに【道具】と【旅】というキーワードが浮かびまして、いつぞや身を投じようと漠然と考えている世界への厳しい旅に耐えうる衣服基礎的の強さ、奪われてはならない愛用品を安全に収納発揮できる実践力、故障しても修繕が効く応力、それらを日常レヴェルへ難なく昇華できるチャンネルに琴線触れるのでしょうか。いずれにしてもファッションから遠いところに身が在る気もしまして、哀しくもあり、切なくもあり、しかしながら脳を空っぽにすると自然希求しているタフネス・ウェア、似合わないと一瞥される常。1月17日夕暮れ、終着駅のない雑言で御座います。

 

 

 

 

それは素材かもしれませんし、縫い方かもしれませんし、ポケットの数かもしれませんし、パーツかもしれません、目的性への共鳴かもしれません、もしかしたらイメージ想起するカジュアルウェアではなくテーラードスタイルが魅せるタフ/エレガンスかもしれません、いつぞや身を投じる世界への厳しき旅のお供に推奨するわけでも、何度も手縫いしながら御愛用頂く推奨点もグッと堪えまして、性癖の深いところで譬え踠き苦しみながら、皆様の無心の連続に僅かでも,僅かでも触れて頂けましたら、こんな光栄な事は御座いません。そのようなわけで19日(土)より【Duty selection】御披露目とさせて頂きます。

 

 

 

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Newarrival0112 / Diary652
11.1.2019

 

 

職種にしろ,履く靴にしろ,着るコートにしろ,今夜の酒にしろ、日々懸命に愉しく生きようとする我々は常に選択の連続によって存在を続けておりますが、それは些細なことでさえ、日常の選択によって数秒後のなにかが決定される繰り返しに緊張感を持つ方は然う然ういらっしゃらないと憶いながら、相対的かつ絶対的な時間の中で存在を続けている確かな事実が決して逃れられない性質と解れば、昼のおにぎりでさえ今後のわたくしにとって重大な決定ではなかろうかと0.8秒程考える時間を注いでしまうもので、結局のところ鮭と昆布を繰り返し、結局のところ、なにも変わらない日常で御座いまして、職種にしろ、履く靴にしろ、着るコートにしろ、今夜の酒にしろ、違う選択と後々に判明するや繰り返せば宜しいのではありませんかと憶う反面、その時、その瞬間、その刹那、自由選択が他でもない自身の絶対的な決定である真実こそ、人生とは一回性である素晴らしさを結論付けるもので、蓮見兼一氏の伝えにハッとさせられた2018年の暮れで御座いました。それはヴィンテージ / アンティークの衣類小物を販売させて頂く小売業を 生 とし 業 としている今現在の連続性に限りなく近い性質ではなかろうかと想わずにはいられず、唯一存在であるビスポーク品々との御縁や個体昇華が明確な品々との出逢いや、そんなこんなな機会の数に例年に増して潤いを感じた今シーズン、ひっそり振り返りましても切ないほど其々の1着で御座いまして、嬉しいほど其々の1着で御座いましたので、何事においても其の一回性の美しさと儚さを2019年の明けもこゝろに留めて参ろうと奮い立った次第であります。
「水曜の朝、午前三時」大変お勧めで御座います

 

 

明日より御披露目させて頂く英国ナンバーが初対面である事実も、重厚な平織りながら上質布団のような生地感取も、フラップポケット、ダブルブレスト、ブルーグレイのカラーバランスも、個人注文のバックグラウンドを捨てきれずにいる個体偉力と推測を続けておりますが、確かに正統的でありながら英国同社の提案とは憶えないほど古き素晴らしき紳士外套の決定力と存在事実を受け入れると同時に、其の輝かしい純真さを目にしましたら嬉しくないはずはなく、其の純粋な古き素晴らしきオーバーコートの出立ちは喜ばしくないはずがなく、冬期のコートとして今シーズン最期のご提案と相成る本作が極まるくらい一回性の威力を秘め得るBureberrys社の特異個体であらば、日本で小売業を営む青山の小さなお店でエントリーをさせて頂くに生まれる恐縮な憶いも否定できず、翌年元号が移り澄んだあたりで振り返る切なく嬉しい其の1着に成ろう古き素晴らしきオーバーコートが何方様の選択と相成れば、何方様の一回性と相成ることを願いまして、今夜の酒は変えてみようと憶います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


New arrival, 30-40s Burberrys over coat

 

 

 

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easy tailored の有用性 / Diary653
15.1.2019

 

 

 

途轍も無く, chic tailored / Diary583
 
1881 couture / Diary626

 

 

現代Bespokeから最も遠いフリーダムフィット又はイージーフィットが成功しているテーラードとの御縁に恵まれた今シーズンでしたので、例年に増してプレタポルテの可能性と偉大さを等しく受け取ることができました。着用者を限定させず,緊張させない特質的なアプローチは、背筋を伸ばすためでも人様と儀礼的に向かい合うためでもなければ、当然と謂っていいほどフォーマルからかけ離れた非・正式性なもので、非・公式的なものですので着用機会の精査が必要なチャンネルと重々心得てはおりますが、フリーダムフィット又はイージーフィットが成功しているテーラードの有用性を上述反対解釈させるならば、非・正式性なもので、非・公式的で、非・日常ではない、是・日常のゆっくりとした生活時間を拘束されずに御過ごし頂くならば、是・日常のゆっくりとした生活時間を助長する本件テーラードの能力に、僅かな留保はありますか。ディケンズが論じた「生活は万人の闘い」闘わねばならない生活に巨大な緊張があるとするならば、必要とされる上着ではありませんか。

 

 

 

そのように大袈裟で真剣な評価をさせて頂いている限定区分は謂わずもがな、服飾史として深さがあるわけでも世界史として伝統性が沿うものでもなく、紛れもなくプレタポルテの発展から生み出された近代成功のひとつであろうと思いますが、本当のところ40sブルガリア軍の就寝着が資料だったり、30s英国スモーキングウェアが発露だったり、ストリームの形成サイクルが早い女性モードの何かがきっかけだったりするのかもしれない其々は差し詰め重要ではなく、快適性の追求とモダンである事の重みを等しく捉える難しさや厳しさや危うさがあるイージーフィットの基底も、そもそも白紙のような気がしてなりませんで、偏にデザイナー様の舵の切り方によっては歴史的失敗作に成りかねない,すこぶるセンシティブな特質区分とも重々心得ているつもりであります。90年代Dries Van Noten氏の提案も本当に見事な成功例で御座いますし、Cerrutti同社より送り出された提案はおおよそ素材を主にする強い原動力を感取致しまして、プレタポルテの発展から生み出されたイージーフィットの発露が仮に1980年代から(それ以前は想像できない)だとしましても、男性的なショルダーフォルムの構築が左岸を支配していた中【快適性】と【モダニズム】の両立をプレタポルテから発信していたハウスは指折り数えてもやはり少なく、同年80年代テーラードの再解釈を実現したGianni Versace氏のフィールドバックが絶大な成功を収めた傍ら、イタリメゾンの帝王が審美眼を向けたフォーカスは真逆を往く【快適性】と【モダニズム】の両立を視ますと、それが市民と密着性の強いレーヴェル発信である本作との結びつきも容易で、パニナリによって色付くミラノ中心地、ゆっくりとした生活時間を拘束されずに過ごす市民男性の緊張を溶き解すテーラードと成り得たのでしょうか。

 

 


 

 

 

 

 

 

ウール主要構成に4%混入させたカシミアの意図をわたくしは知り得ませんし、例によってチョコレートブラウン色へは高い個人評価を置かせて頂きたく、あるいは低く設置された3つ釦ながら段返りになるトップ釦とアンダー釦を留めない紳士性を突き通すと結局のところ中央ひとつしか留められない事実に思わず笑ってしまいましたが、おそらく固定概念の脱却も意図したのではなかろうかと考えを巡らせながら収納を重要視するイタリアスポーツウェアの其々に恥じないたっぷりとしたフラップポケットはハンドウォームではない設計意図を左右極端に切り込まれたサイドベンツで納得致しまして、いずれにしましてもイタリメゾンのセカンドレーヴェルは基本的に高品質である実例の多さは扨措き、late80s-early90sの同社カジュアルレーヴェルが大変素晴らしい御作りをしている評価に曇りひとつ御座いません。

 

 

 

 


late80s-early90s Armani Exchange tailored jacket from Italy

 

是・日常のゆっくりとした生活時間を拘束なく緊張なく御過ごし頂けますよう、日々ゴミの分別(弊店所在の港区はとても厳しい)に奮闘している万人のひとりより、静かにお祈りを申し上げます。

 

 

SURR by LAILA 小林

03-5468-5966
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今にも落ちてきそうな空の下で / Diary654
16.1.2019

弊店の空間特性の一つに “ 異常に降り注ぐ日差し ” がございます。それはカウンターに電子機器を置いておくと熱暴走を起こし冬場でも汗ばみ、 反射で店内の御査収に支障をきたすほどですが気持ちと身体は明快でやはり日差しを浴びると単純に心地良いものですから利点と欠点を天秤にかけたうえで私はその環境を愛して止みませんが、それらを浴びながら夢想にふけるとふと一着のコートとの出逢いが想い出されます。縁あって初めて辿り着いたそこは国境のほど近くにある全体が緩やかな丘状となった土地で、高い建物が一切ない替わりに閉館してだいぶ経っているであろう遊戯場や映画館などの廃墟が点在する小さな小さな港町でして、その日は非情に冷たい海風と異常に降り注ぐ日差しと緩やかな地形が相まって、不自然なほどに大きく感じた今にも落ちてきそうな空の下で得た敗北感という名の貴重な体験と、唯一出逢えた一着のコートがこの度の題目です。

 

 

皆様方と同じく私もこの生業において、自分なりに精一杯の挑戦と精査を意識し日夜取り組んでおります。何かを続けようとすると様々な場面や状況において “ 停滞する ” ことがあり、その一つに鮮度ないし感度が当てはまるのですが、私はその点における停滞に対して極めて強い危機感ともっと言ってしまえば嫌悪感すら感じるがゆえ、以前であれば定期的に髪を紫色や黄金色に染めて気分を変えたり、現在においても折に触れては普段と異なる道中で帰宅したりタワーレコードに足を運んだり、もちろん自身のための買い物を行ったりで必死に鮮度ないし感度を停滞させないよう足掻いているのですが、それは店という空間を創るうえでより顕著でして、そのためにできる大きな要素の一つに “ 新たな出逢いの模索 ” がございます。それは様々な事柄と利便性が発展した現代においても私にとって極めて大きな危険性を有し、だからこそ掛け替えのない取り組みでして、挑戦するイコール大なり小なりの金銭と時間を費やすこととなりますのでそれによって得られる ( 人なのか品なのか可能性なのか ) 収穫の量と質によってはっきりとした結果が現れます。私にとっての新たな出逢いを模索する挑戦は、充足感もしくは敗北感で満ち溢れる残酷なほどにはっきりとした二択です。

その港町でははっきりとした敗北感で満ち溢れました。挑戦は失敗に終わり失意のまま彷徨い歩くことも叶わないほどに小さな街で、出来事といえば少年たちに場所を尋ねられるというくらいだったのですが、ふと引き寄せられて立ち寄ったいわゆる街の小さな雑貨店で一着のコートと出逢うことができまして、それは値札の付いた品ではなく店主の夫である老紳士の持ち物だったのですが、無理を承知でお願いした結果譲り受けることができたのは海風にさらされつくした敗北感に満ち溢れる怪しい風体であったのと、出逢いを願い続けた ( 今でも願い続けています ) 私が知る限りで現存最古期の Burberrys コートゆえの必死さが要因だったのでしょう。



修練の形跡をしとどに感じさせる肉厚ながら柔軟性に富んだ羊毛表情や、同社が後々手掛けることとなった英国王室直属空軍のコートと偶然なのか必然なのか同一な青みがかった特殊な灰色や、男性としての威厳を具現化した各所装飾性や高い腰位置など、文化と歴史に向き合ってきた同社ならではの構築性かつ、現存最古期という要素を差し引いて語ったとて心から御推奨したいと想える一着の服としての純粋な個の力に出逢えたことは、今にも落ちてきそうな空の下で感じた敗北感における真に唯一の救いではありますが、いくら挑戦が大切とはいえこの出逢いは砂漠の中から一粒のダイヤモンドを探し当てるよりも低い確率であり、なにより後にその雑貨店が廃業してしまったため私はその港町に再び足を運ぶことはありません。

 

 

 

 

 


30-40s Burberrys over coat

恥も外聞もなく申し上げますと敗北感は他にも数多経験しておりますが、初めて綴らせて頂いたのは私にとって遠く離れた SURR にいても時たま記憶が蘇るほどに特殊な出逢いの、例えば真夏であっても “ 今御認め頂いて間違いございません ” と全力で胸を張れるほどに純真無垢な個の力を有した一着のコートであるがゆえです。

とても綺麗な海で本当に本当に大きな空でした。あの少年たちは目的地に辿り着くことができたのかな?

 

 

 

 

 

SURR by LAILA 福留

03-5468-5966
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coming soon / Diary651
10.1.2019

 


coming soon, 30 – 40s from British

 

 

 

 

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飢えなきゃ勝てない / Diary650
9.1.2019

アンティークという区分が ようこそ と誘う牡としての達成本能を万遍なく刺激する麻薬のような男の世界には他にも、その時代 “ ならでは ” の構築性という要素がございまして、昨年一昨年にそれぞれ一着のみ御紹介させて頂いた今回の種別はその代表格の一つと言えるのですが、それもまた数多の出逢いがあるアンティークという区分でありながら実際に選べる機会はほぼ皆無に近しく、それにはその種別特有の判断基準がありそもそもそれ自身の現存数が極端に少ないという現実があったとて、正直に申し上げまして生産性が極めて低い取り組みであることを自覚しておりますし、より正直に身も蓋もなく申し上げますと手前どもの生業そのものの生産性が低いことにも当の昔に気付いておりますが、私はそこにヴィンテージという, アンティークという蓋があれば必ずどこかに御客様という身があると確証無く信じる性質であり、生産性が低いからこその気高さを皆様方の御陰様で知ることができましたのでこれを自分の業であり勝手ながら宿命と捉えておりまして、生産性が低いことによって産まれる “ 飢え ” を前向きな原動力として、飢えて飢えて飢えた末に逸品と出逢えるという実体験によって 飢えなきゃ勝てない という教訓を得たことは私の人生における大きな財産の一つです。

 

 



飢えて飢えて飢えた末に出逢えたのは世界最古の百貨店 Bell Jardiniere におけるビスポークのダスターコートとなればそれはもう飢え甲斐があったというものでして、これまでに出逢ってきたダスターコートが薄手であったのに対して本品はしっかりとした生地感であったり、だからこそのこれまた容赦のない繊細で綿密な仕立てであったりという特性が存分に秘められておりまして、そもそもダスターコートは書いて字の如く埃除けを目的としており、蒸気自動車からガソリン自動車へ産業が移り変わるおおよそ 1920 年代頃におおむね不要と見なされた歴史の過程で消え去った種別の衣類の一つであり、稀に出逢えたとて埃除けという目的性ゆえに現存していても現実的ではない状況に辿り着いてしまっている品がほとんどですので、着用の形跡が見られない, 確定する術がありませんので推測の域を出ませんが未着用と思わしき状況で出逢えたことはやはり幸運なのですが、最古の百貨店である点やダスターコートという種別の希少性を差し引いて論じたとて、純粋に一着の服として魅力的であると素直に想えることが何よりの幸運でして、蒸気自動車のほとんどに屋根がなかったため全身を覆う必要があったからこその容赦ないほどに長い着丈の出で立ちと、これまた容赦なく重なる前立てを開いた際の表情と、ビスポークかつしっかりとした生地ならではの肩への乗り具合と肩口の包み具合による心地良い寄り添いと、アンティークだからこその素朴かつ上質な生地の美しさからなる個, ただ羽織ることで表現されるその強さは、いわゆるロングコートの類でありながら他に類似がない一着として御認め頂いてしかるべきに想います。

 

 

 

 

 


1920s France Duster coat by Bell Jardiniere

なお本品に付随しますボタンは全てオリジナルではございませんことを先に申し上げさせて頂きます。出逢った時既に皆無でしたので、手前どもが所有します 1920 年代から 50 年代のボタンを無作為に 12 個配置致しました。イギリスの王室直属管轄品や古きフランス軍など、これぞな個体のために収集していたボタンとなりますので、このような形で再び活躍の日の目に至り嬉しいです。洋服は着るための、ボタンは留めるための存在。そしてビールは美味しい存在。

 

 

SURR by LAILA 福留

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