無意識的な洗練性 / Diary263
19.5.2016
デッドストックという条件はもとより、そもそも物として初めて目にする本品は、極端なまでに長い着丈でありながらシャツとしてのディティールを踏襲した、極めてユニークで何よりコンセプティブな一着。
皆無なディティールとクラシカルなパーツを統括するは、オーバーサイズのシャツコートという当時で言えば近代的な、今で言えば現実的なスタイルで、そのアンバランスがトアールのような儚さを醸しながら一着の洋服として明確な意思を発揮してくれます。
空気を優しく包み込む張り感の強いコットンとオーバーサイズのパターンメイクが生み出す独自の立体は、バウハウスという唯一無二の芸術様式を生み出した国ならではの無意識的な洗練性でして、そもそもが軍の管理する医療機関にて着用されていた一着ということもあって、要素を極限まで削ぎ落とすミニマリズムが逆説的に濃厚なモードに変換された尊い成り立ちです。
70s German military’s hospital shirt coat , deadstock.
大変に特徴豊かな背景ですが、それを差し引いてまずモードな存在感が脳に響きました。
SURR by LAILA 福留
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