気楽な羽織り / Diary1213
17.4.2024

造形美と色彩感覚、この類稀過ぎる二つ感性はやはり後のBerlutiに吸収された新体制では受け継ぎ切ることはできなかったのでしょうか。会社も時代も文化も違うので仕方ないと言えば仕方ないのでしょうが唯一無二の文化力が失われてしまったと思うとANRYSが消える当時に“買収なんかさせずに国が守るべきだった“と悲しみつつ怒っていたパリの友人の姿を思い出します。

 

 

造形美も好きだけど私は色彩感覚が一番好きな要素かな。創始者の奥さんが日本人だったから着物からの影響も大きかったという点も含めてシックなトーンもヴィヴィッドなトーンもペールなトーンも単体はもちろん組み合わせの感性が本当に唯一で無二、スタンダードでシンプルに組み合わせるのが好き(と言うかそれしかできない)身としては一着が放つ妖艶さだったり癖者感だったり明快に美しいオーラは本当に楽しいです。

 

 

これはテーラードジャケットのプロダクトバランスなのですが、物としてはハーフコート。しかもフォレスティエールのように室内で着たままでも支障がないカバーオール的概念と構築と設計かつフォレスティエールのように着る人を選ぶ(万人向けではないからこそハマると強い)シルエットバランスではなくスタンダードで王道的スタイリッシュさを秘めたテーラーメイド。

 

 

気軽に羽織れて気楽に過ごせてスタンダードに綺麗なスタイル性でリネンコットンの清涼感溢れるテクスチャーで優しさの中にしっかりと色の個が光るという控えめに言って相当に優秀な一着。この楽チン感なんかANRYSを当時楽しんでいた人々の全体的な世界観をまんま現していて、やっぱりそうですよねと合点がいく感じも大好きです。

 

 

 

 

 

New arrival,90s ARNYS linen cotton half coat.

 

もう一度言いますがテーラードジャケットではなくハーフコート、しかも室内で着ていても不自然じゃない気楽な羽織りです。それこそ当時楽しんでいた人々はほとんどがシャツでタイドアップでドレス系のトラウザーなのかな、革靴なのかな、ポケットチーフなのかな。もちろん言うまでもなく抜群な世界観だけど私は絶賛カジュアル勉強中とあってファイヴポケットパンツやジーンズが特に気分なのでARNYSの世界観と言えど今のカジュアルで合わせたいのですが、当時の人々からしたら眉をひそめる着方なのでしょうか、まぁいいけど。それこそ13年ぶりにスポーツスニーカーに惚れることができてよりカジュアルテンションが上がっているんですから!出張のたびに実用品として必要性をしとどに感じ幾度となくアレ買おうかとかコレで良いかとか思いあぐねていたんですが、適当に買わなくて本当に良かった。まだヴィンテージジーンズと合わせる勇気はないけどこれからの気分に合わせて色々と楽しみたい。もちろんARNYSともね。

 

 

SURR 福留

Copyright © SURR All Rights Reserved