SURRに成る少し前かな、渋谷ハチ公前に出るFOODSHOW(ってもうないんですっけ?)出てすぐのエスカレーターを上っていると目の前に自然体に洒落た小粋な老夫婦がいたのですが、その男性が革靴を凛と履きこなしていて私は軽い衝撃を受けました。てっきり年齢を重ねるごとに革靴が履けなくなってゆき晩年はウォーキングシューズやスニーカーに収まるとばかり、きっと私も自ずとそうなるのであろうとなんとなし漠然と思っていたものですからその老紳士の背筋がシャンと伸びた姿に驚くと共に感動し出で立ちが格好良いのは勿論そもそもにおいて身体にも良いであろうということで“私もこう成りたい”と切に想い以降毎日革靴を履くことを胸に誓ったこともあって、それまではそれなりに楽しんで近所のニューバランスで(これはもうないですね)“お、MADE IN ENGLANDとかかっけぇじゃーん”と1500を(そういえば今どこにあるんだろう…)買ったりしていたもののスニーカーの類を全く履かなくなってしまいました。革靴が好きだったし穿き続けることで疲れなくなって日常はもちろん買付の旅でも二足くらいの革靴で何ら不足もなかったのですが、気分の推移というのはやはり訪れるもので“よしカジュアルを改めて勉強しよう”と膝を叩いたものの、その頃には御陰様ですっかりスニーカーがなんたるかを失念し何が良いのか悪いのかが判断できないいわゆるセカンドヴァージン状態に突入していました。
勉強しようと某スニーカーアプリをダウンロードし眺めてみるも琴線には触れず良いと思ったとてテクノロジーに関してやフィロソフィーに関することなのでプロダクトを発端をしておらず、百貨店を巡ってもこれまたピンとこない。元々むかーし昔にはクラシックスニーカーを楽しみ親しんでいたのでその文化であれば引き続き琴線に触れまくりピンときまくりなのですが、どうやら国内におけるそれらヴィンテージスニーカーの世界は私が想うスニーカーの在り方とそれはそれは乖離していることが分かって絶望したりもしました。(ここでも私の中にある母親のカレー理論が当てはまります)
ちなみにこの混乱期に幸運にも文字通り一筋の光となった出逢いがありました。弊店インスタグラムのポストにいいねをくれた中にいた某シューズブランドのPRクルーいて、彼が“WE MADE IT”とポストしていた新作のスニーカーに私は一目惚れ、それは1938年に自社が製作したテニスシューズを復刻モデルでやはりクラッシックカルチャーでした。お気に入り過ぎてこつこつと3カラー所有に至ったのできっとMYスニーカー事情はある程度安定したはずなのですが、先日パリの店舗を見に行ってみると該当モデルが一足も展示されていませんで…ももももう廃盤でしょうか…季節の変わり目で一旦裏に下げられていただけなことを切に切に願います。
世界的にスニーカー人気が高まっているような話を見聞きしますが、ことヨーロッパでの私の環境では皆流行目線でもプレミア目線でもなく素直にスニーカーに向き合っているように感じられ自然と心が洗われました。ランニングシューズを履いている人はランニング感、ウォーキング系のハイテクスニーカーを履いている人はウォーキング感とスニーカーを履いている人が沢山いる中で千差万別のスニーカースタイル、その流行りを感じさせない在り方は本当に素敵だったなぁ。あ、強いて言えばパリはソロモンが多かったのでCHIRICOの鈴木に問うたらソロモンではなくサロモンでパリのブランドであることを教えてくれました。であれば納得ですね。
そのフラットでフェアでピュアなスニーカー環境で心が浄化されたお陰か、先日の旅順では一足のヴィンテージアディダススニーカーをセレクションすることができました。80年代初頭のユーゴスラビアクリエイションで未使用個体、コレクターいわく日常の活用も問題なく雨風にもさほど神経質になる必要はないとのことでした。私でも知っていますよ、アディダスのCITY SERIES。珍しい色合いだなぁと思ったらソールがかなり非王道だそう、現代目線でも新鮮だもんな、濃紺とミルクホワイトって。
New arrival early80s Adidas made in Yugoslavia ATHEN, deadstock.
サイズ表記は10 1/2、これがスニーカーフィッティングだと何センチの足にマッチするので御推奨できるのか大変申し訳ないのですが私には全くもって分かりません。教えてください!今回のセレクションは私にとって大いなる挑戦の一つなので、カメラのビューファインダーを覘いてもドキドキするしSURRの空間に今あることそのものにソワソワしていますが、やはりクラッシックスニーカーは相も変わらず好きなので早く慣れたいしこの挑戦が一回で終わらないと良いなって。
SURR 福留
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