カラーレス・ジャケットっていつ産まれたんだろう。とふと想ってみましたが、あの職業用だとカラーレスではなくスタンドカラーだよなぁ であったり、あの銀行家のコートは 150 年くらい前だもんな、あれは格好良かったよなぁ であったり、そもそもミリタリーの仕立服でカラーレスってないんじゃないかな であったりと、ネット検索が気乗りしなかったので脳内検索で済ませたばかりに不明瞭な情報とも言えないほどの雑記しかヒットしませんでしたので、取り急ぎカラーレスは趣味嗜好に伴うアレンジ ということに勝手ながら着地致しましたが、見た目的な意味合いにせよ機能的な意味合いにせよもしかしたら思想的な意味合いにせよ、 “ 無くしてよ、襟 ” の一言で申し分なく仕上がるほど簡単な話ではないことはネット検索をせずとも解ります。この美は、なかなかどうして問題児であると。
首の周りに寄り添う、あの生地と芯地と重量が在って成立する前立て。それを無くすことでの身体への寄り添わせに必要なパターンメイクの精査とテーラーリングの技術力なんてお話しよりもまず ( 決してそのお話しが無意味というわけではありません。とても重要であり有意義ではありますが、まず最初に論点に成るべきは という意味合いです ) “ 見た目が格好良い ” じゃぁないでしょうか、カラーレスとやらは。カラーレスに限らず装いにおける神羅万象はまずその点の格好良い・可愛い・似合うなどから始まるべきであると本当に心からかねてより想う次第です。
そこに在るはずの襟がばっさりと消失したその顔立ちは、一見すると世にはびこる ( はびこる? ) はい切り落しました的リメイク・カラーレスと万が一つでも近しかったとて、それらとは土台から異なることを言葉を有さず即座に認識させてくれる様々な全ての要素。もったりとした素朴ながら小気味良く上質なリネンの揺れ動きと、それに呼応するドラマティックな形状変化。その根幹を成すサマーテーラードの様式各所に秘められたドラスティックなサルトリア・テクニック。その静かながら熱くプライドから成る、カーディガンのような着用感。そして実はテーラードジャケットではなくサックコートなため自然なルーズシルエットであるという、エルキュール・ポアロもびっくりの巧妙なトリック。
なんてお話しよりもまず単純に格好良い、リネン・サマーサックコート。
1992s Hermes homme collar-less linen sack-coat made by Sartoria
SURR by LAILA 福留
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