つい先日ですが、29 歳にして初体験。と言っても下世話な話では無く、今まで触れず、発想に無かったまだまだ未体験の物事が多いことは、幸せな事だと噛み締めつつ、食わず嫌いは辞めようと身に染みた御話を。まず、弊店にて御会いした御客様方は我々のスーツ姿の印象は強いと存じていますが、私も装いを愛す人間ですので普段は何でもと言ったら語弊がありますが割と雑食の上、好みはかなり偏っています。御恥ずかしい事に弊店で働くまで、スーツ又はジャケットスタイルはあまり関心は無く、自分の中ではシャツが上級の正装の様な感覚からか、クラシカルなものを選ぶより感覚的になんか少しずれてるなと思う不思議と気の合う洋服に心惹かれる面が前提にあり、テーラーの様な硬めな印象、あいつカッコつけてねえ?なんてと思われる気がしてしまい億劫な目線になっていたのは事実です。しかし、最近は普段の装いも含めてカッコつけてて何が悪い?と思えるほどジャケットスタイルの本質的な良さに触れ、一つの新しい側面と共に背筋の伸びる、少なからず威厳と申しますか、良いプレッシャーを感じることの叶うスタイルだとつくづく思える様になり、もしかすると彼女が突然出来るくらいの心境の変化が現れる様な気がして。極論ですが。初めての経験とはカシミアテーラードジャケット。偶然にも手にしたタイミングで弊店でも御案内が叶い、ものは違えど近い生産背景を身に置く一着を着始めたことにより、固定概念が解放された感覚と共に、対価に値する本質に素直な感情が芽生えました。そもそも捻くれてる性分ですのでブランドネームには中々響かず、良いとされていても選択肢には無いのが正直な話、全員が何々の ○○ が良いと口を揃えても疑って掛かるタイプの人間な私でさえ全員に良さを伝えたい程の逸品です。
80s Brioni cashmere tailored jacket for france.
洋服に携わる仕事をしていて抽象的な事はあまり言いたくはないのですが、単純に ” 気持ちがいい ” のです。詳細につきましては、前々回の Diary にて福留の綴りを御覧頂きたいと思いますが、身体に吸い付く様なフィッティングにも関わらず、例えば落ちたものを拾う、煙草を一本吸う、お茶を淹れる、洋服を畳む。単純な行動一つ取っても生地が攣らずに動くことの出来る伸縮性のある素材の妙、ストレスを感じない軽さと可動域の広さは他の素材では表現出来ない、心身ともに穏やかな感情に浸る事が出来ます。それと ” 保温性 ” 、天然素材の織り成す着心地の良さも勿論ですが体温を閉じ込めてしまう性質、最近の 10 ° 台前半の冷えた真夜中でもシャツ、ジャケットで事の足りる程の温かみ、プラスでニットを挟めば真冬でも通用するんではと、重ね着を嫌う方には嬉しい特質かと。
最後に御伝えしたいのは普段の装いに羽織る感覚で御使い頂ければと御推奨致します。言葉選びが難しいですが、それっぽく着ない方が愉しいのでは。
私は連日酒を呑んだ次の日、自前のカシミアテーラードジャケットを着てしまうと回復どころか以上な安らぎに苛まれます。それも初体験。それほど心地良いのです。
SURR by LAILA 鈴木
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