欲_これぞなツイード / Diary 772
5.10.2019

ツイードという存在の表情であったり特性に対しては素直に惹かれているものの私はなかなか選ぶことができませんでして、その理由は肌触りと重量という単純明快ながらツイードそのものの特性に伴う要素ゆえ非常に歯がゆい心持ちになりますが、選べないものは選べないものとして前向きに捉えて旅を続けますと稀にこれぞなツイードに出逢えることがございまして、それは本品にせよこれまでの数点にせよ “ ツイードを専門的に手掛ける看板ではない看板が製作した品” もしくは “ 専門的な看板とそうでない看板が手を取り合って製作した品 ” のどちらかです。

 

 

私は基本的に服飾の品々を着るもの / 身に着けるものと捉えておりますので、アートである, 芸術的である等の表現を容易に行うことを良しとしませんものの、こと同社の織り表現に関しては芸術的であると素直に想うのはやはり夫妻がアートの作品群から得た刺激を服飾製作に活かしていたからかと想いますが、羊毛を主軸としたツイードの織りは専門看板のそれら的な重厚感と説得力があるうえで、それらではなかなか得られない領域の素材表情となにより軽やかさとしなやかさによる装いの存在感は少々異常でして、屋上や道路や廊下やベランダで試行錯誤してみたものの眼で感じる圧倒的な “ 強さ ” をカメラに収めることは叶わず、この生業に就いてから常に感じ続けている “ どれだけ撮っても実物の魅力には到底敵わない ” という法則を改めて切実に強く感じ、人の眼はすげぇなぁ~という想いと、写真と実物の印象が良い意味で乖離する尊さと、それがツイードで在ることの喜ばしさを抱いた次第です。

 

 

 

 

 

 

 

 

80s Missoni uomo, tweed bal-collar coat.

私は身体つきであったり顔立ち ( 道端でスカウトされて10分後に明治時代を舞台とした映画のエキストラを演じなくてはならないとしたら、そのままいけると自負しております ) を踏まえて紆余曲折を経たことで、クラシックな品であったり古典的な装いが好みであると同時に、前衛的であったり現代的な品や装いは心に寄り添わなくなりました。しかしながら強い雛型性とデザイナーの感性が融合すると、稀に本品のような古典的な装いと現代的な装いの両面を備えた存在が産まれることに気付き、私自身の在り方にも新たな欲を抱き愉しく想っている次第です。簡単に申しあげますとダンディズムを好む人が着ればクラシック・スタイルに, 洗練性を好む人が着ればモダン・スタイルに という柔軟性ですが、これは相当に相当に面白いです。

 

 

SURR by LAILA 福留

03-5468-5966
[email protected]

 

 

Copyright © SURR All Rights Reserved