世界は平和に廻ると思うのです / Diary708
22.4.2019

 


 

1980年代から1990年代ミラノを中心とするユースカルチャー【Paninaro / パニナロ】について幾度かご説明させて頂いてはおりますが、米国に憧れを抱いたシニョーレが市民へ向けて開始したプロジェクトはマーケティングの成果と謂うにはいささか疑問も残る “ 浅さ ” と謂いますか、採用されていたロゴやテキストには大変ディープな精神性があるのだろうと約2年間研究を重ねましたが得たひとつの回答は “ 意味なんてない ” ゆえの “ 浅さ ” で御座いました。イタリアで育った彼らの巧みなカラーチューニングセンスと、日に焼けた肌と、高い身長と、隣を歩く美しい女性と、あるいは制限性のない色彩選択や瑞々しいカラーパレットはサンバビラ広場を鮮やかに彩り、彩りを構築する【Paninari / パニナリ=個人】へ衣服提供を続けた栄養元こそ【Best Company】カルチュアの支柱的存在と申しますか、そもそもハウスネームも気が触れてるとしか謂いようがないのですが、とにかく英の語を使用したい少年のような無垢さや欲望が渦巻くテキストセンスは本当のところ皆無と謂って宜しいのではないか、無様に単純で偏狭で初見より見解はあまり変わりませんが砕いて申し上げましても、驚いた,なんてダサいのだ!!(褒めております) と思わずにはいられないパニナロというより同社の個体印象ですが、その抗えようもない純真さに加わるイタリア本国の徹底した製作背景や産地を拡大させることなくミニマルに収める社的意向も一躍を担い当時を愛するシニョーレに多く見られる収集家、マニアックコレクターの存在は我々の頭を悩ませるばかりで、彼らの収集導火線に火を付けた功績者こそ,時に英国のスポーツメーカーで多面的に才能をアウトプットしていたコントローラー【Olmes Carretti】その存在はあまりにも大きく、あまりにも濃く、同氏が情熱を注ぎ続けたテキスタイルはどれも決然としたもので、全体の構成から染色糸まで操縦する統制者としての才、ブランディングの舵取り、カラーチューニングの術、製作への落とし込み、当時の時流でしっかりドライブするディレクションの巧みさ、当時の評価以上に迸るなにかを感じるのは彼がメインパーソンとして躍動していたまさにBest Company同社で御座います。だって無いではありませんか。この様子で産地がイタリアですよ、が通用するディープフィールドなんて。

 

 

 

 

 

パニナリのクローゼットを構成していた主要成分がカラフルなコットン・スウェットやウールセーターに加え大概を占めていたブルージーンズの存在はやはり硬く、デザインソースが米国からのインプットの他,アウトドア・タッチな都会活動着も目につく同社表現の中で、ブルージーンズへ注がれるエネルギーには絶対的な質量が御座います。あるいは当時市民に愛されていたジーンズという名の穿き物にはゆったりとしたヒップバランスから脚軸に沿うテーパードの急激性,レッグフォルムの一貫性が存在し、それは国柄をストレートに顕すほどのマテリアルと存じながら同社製作の其れ等には偶発的に誕生した物体のように独立したエナジーと申しますか、非人工的な温かみと申しますか、水量調節をしたように魅せかける非デザイン性と申しますか、その非計算性が共通項に浮かび上がるように総じてカントリータッチな運動的バイオリズムという印象を肥大させていく一方な私的見解とはいえ、それは同国他社の功績軌跡を辿りますとより明確にくっきりと浮かび上がるのではないだろうかと憶うわけでありまして、産地本場のBest Company by Olmes Carretti製作ブルージーンズというカテゴライズは実のところもっとスケールが大きく、同年代頃に多く見られるヨーロッパ産ブルージーンズという拡大解釈で腑に落とすほうが馴染みも宜しいように、馴染みが宜しいようなブルートーンですし、ファッション・モードから最も遠い民衆的な香りが鼻を突くものです。

 

 

Levis社ワークトラウザーの一種701のヒップパターンのように魅せて其処までドラマティックではなく、おそらくバックポケットがただ巨大なだけではあるまいかと憶いますし、全体として基底要素が伺えない独特の着用リズムはスタイリングなど意図した瞬間敗北する気配が御座いますので是非とも無の心領域にて常用頂きたく存じますし、経験的推測で恐れ入りますが洗い込むとゆっくりとフラットに落ちて往く主張性も都会性もないエイジングとその非成熟未来に希望を持つ御方など100名いたら5名程の物好きと失礼ながら憶いますがいずれにしても、Olmes Carretti氏 唯一の魅せ処 “ 刺繍采配 ” 成るバックポケットの表現物にはハッとさせられた刹那、わたくしが勝手に認識している稀少種バードコレクション(鳥が主役の刺繍表現)がまさか犬に殺生されているとは哀しいとかモラリティがどうとかそんなお話ではない大変ディープな精神性があるのだろうと熟考に熟考を重ねて得たひとつの回答は “ 意味なんてない ” とお決まりの終着点ながら例えば解釈変更で道端で倒れていたバードがドッグに助けられている図として如何でしょう、平和に参ろうではありませんか。そんな珍品を強引解釈でマイジーンズに認定する御人が世界中に1名はいらしても、やはり世界は平和に廻ると思うのです。

 

 

 

 

 

 


New arrival, early90s Best Company blue jeans design from Olmes Carretti, Dog help the bird

 

 

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