“ 男女に限らず、自分の服装にスタイルをもっている人間が好きだった。「なぜその服と靴と鞄を選んだのか」という理由を持たない人間とは気が合わなかった。しかしかつてはスタイルをもっていた人たちも、徐々に自分を律する力が弱くなり、体型を崩し、一貫性を放棄していく。私の好みは明確だった。男だってスタイルは重要だ。
香水にも違いが出る。フローラル、シトラス、スモーキー、パウダリー。彼らの香りはきちんと性格に合っていた。このような話をすると「いい歳して外見しか見てないの?」と見当外れなことを言う女がいる。バカだと思う。三十代、四十代になってもきちんと自分が身につける服装に気をつけている人間は、ほとんど例外なく賢くて、ストイックだ。知的で心の強い男を探すのであれば、まずその服装を見るのが一番分かりやすい。”
柴崎竜人氏が作中で謂う「知的で心の強い男」が女性から求められる絶大な魅力点だとするならば、自身を律する力を維持し、体型を崩さず、一貫性を保つ内的な強さが、良い男の条件を満たすマテリアルになるということですが、確かにそのような男性は自身にフィットする図を想像しうる力があり、選ぶ事が出来、着ることが出来、例外なくストイックだろうと思いますし、自身の選択をきちんと説明できる理解と知性も持ち合わせているのでしょう。ところで、
Hermesでお買い物をする男性とHermes hommeを悠然と所有する男性とHermes hommeを泰然とお召しになられる男性に対し(年齢に関わらず) “知的で心の強い男性像” を接続してしまうのはわたくしだけかもしれませんが、服飾に興味関心を抱いた思春期より漠然と憧れていた紳士像をわかりやすく言語化下さった柴崎氏のセンテンスとHermes hommeの逸物と厳然とした関係を続ける男性との接合性が硬いものに成りましたので引用をさせて頂きまして、あるいはハックルベリーフィンとトムソーヤのような親密で揺るがない相互性は、金銭の有無では決して到達できない精神の豊かさに通ずるように、結局のところそのような在り方がとても大切なのだろうと近々迎える2019s/s Pre collectionを目前に色々考えを煮詰めております。
“男性のコート”を確実なものにするバルマカーンは知的で心の強い男を助長する上では限りなく有能で、どこまでも有益であります。微調整の連続によってリリースされる逸物は、綿密な設計力と歴作のデータによる総合性に加えヴェロニク女史の数滴の調味料によって磨き上げられた完成度の高さ,原石を丁寧に磨き上げながらも燦然と輝かせない “ 慎ましさに内包されたエレガンス ” は魔術的であると同時に疑いようもなく伝統的で、Hermes hommeが有する波のように穏やかな求心力で御座います故、手に入れた途端イニシアチブを握った感覚に陥るのは決して錯覚でも勘違いでも、ましてや夢なんかでは御座いません。禁欲的なネイヴィ色、指の平で感じる水牛釦の厚み、決然としたスプリングコートの出立ち。蜜月を重ねた所有者のみが得られる感動は、Hermes hommeの銘物をご提案のみさせて頂く我々が何度往復しようと決して到達できるものではない、デザイナーと顧客だけの『秘密』であると、2014年AFP BB NEWSの取材に回答したヴェロニク女史の笑顔に敬意を表し、弊店3着目の邂逅である本作をそっと見守りたいと想います。
Coming soon
90s Hermes homme balmaccan coat
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
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