わたくし自身、この素材がどのような特性を持ち、どのような働きを魅せ、どのように時間と共存していくか、いささか勉強不足なものでざっくりとした輪郭や未来の実相を描けぬまま、あるいは到達点というものがあるならば、そこまでの直線ルートは愚か、アウトラインさえ引くこともできない、まるで留意の散在であります。勉強不足というより、経験不足という表現がおおかた正しいのかもしれません。どのような性質を保ち、どのような種類の皺を刻み、どのように呼吸をするものか、着用し、生活を共にしなければ存在そのものの本質は決して視えてこないという種類の経験不足。圧倒的に足りないのです。ピッグスキンという極上特異点。
それがピッグスキンの防具を纏った3rd typeの正統的実体だとしましたら尚更。歴史的所産の再解釈というひとつの行いは「素材」ひとつでここまで変則的に深化するものかと感興を抱くと同時に、茫然自失な心境もまた正直でありまして、ピッグスキンで3rdを構築するなんて一体どこの変質者が試みたのかと思うわけであります。仏の80年代後期、革を極専門的に操るひとつのマニアックネームが仕掛けたという事実を知るまでは。
そしてミラノコレクション某社の絶大な色気を保存させる方式とはまるで異なるように、ファッショナブルかつ美的感覚を淀みなく与え、固有の空気を保存させた見事なまでの空間演出、求心力のある大きさこそ極めて特異的であると認めるに充分な要素であり、同社の作品であれなかれ、次はないと完結的な姿勢すら感じる、やはり猛烈に特異的な存在であるように思います。鉛筆で線を引いたように荒々しくも的確な縫製、行き過ぎてしまった運針やら構築的要素やら、もしくは創業初期頃の年代であることから同社が発信する名作(を生むための)プロトタイプであろう印象も拭えず。
というわけで、可愛くてたまらないのです。
late80s France Chevignon pigskin leather jacket 3rd style
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
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