例えばリネンという繊維または織物の起源を可能な限り辿ってまいりますと「古代エジプト」という歴史が顔を出しますが、紀元前8000年頃には原料の亜麻が確認され、紀元前3500年頃のエジプトの交易品の中には金やら銀やら陶器やらと混じって、織物として成立した「リネン」が実際的に用意されていたそう。現時点で最古の織物としてエジプト初期王朝時代のリネン製のドレスが出土したり、ミイラに使われる布こそリネンだったり。
いつぞや、紀元前2875年製のエジプト産リネンコート、などご紹介する日もあるやもしれませんが、そこはご安心ください。そんなもの発掘しようものならミュージアムクラス以上に国有資産になり得るレヴェル。そもそも直ちに地球へ還りそうな超自然繊維でできたコートなど、日常的にどうぞ、などと皆様にご紹介するわけにはまいりません。恒久的思考性が人一倍強いわたくしにとっては特に。しかしながら、しかしながらも、事実出土したからこそ歴史が明快に明かされていくわけではありますが、少なくともわたくしは歴史の探求や解明より、そのリネンというお素材/繊維/織物の “ 生命力 ” が(それはもう明快に)証明された瞬間こそ、歓喜に満ち溢れるべきでしょうと思うわけです(考古学者の皆様申し訳ありません)。そうなると今度はリネンというお素材/繊維/織物についての探求心を垂直的に降ろしたくなり、日本麻紡績協会なるオフィシャル集団に問い合わせを致しましたところ、ご多忙なご様子でてんで取り合っては頂けず、渋々と今現在エジプトのお話から綴らせて頂いているわけであります(日本麻紡績協会の皆様申し訳ありません)
なんともリアリティのない文頭からご紹介に至りました「リネン」について、端的にも “ タフネス ” というワードで内包したい心持ち。わたくしからお素材自体の魅力を端から端まで逐一箇条書きを致さずとも、よりディープに、よりワイドに、ファッションをお楽しみ頂いている皆様にとっては欠伸がとまらない内容になると十二分に心得ております故、そんな「リネン」を用いたメインコレクションレーヴェルの素晴らしき作品を一例とし、誠に勝手ながら本日はご紹介させて頂きたいと存じます。
そもそもとして、メインコレクションレーヴェルの素晴らしき一品というものをご紹介するにあたり、質素で簡潔的なお素材に対するボタンがetc、とか、正確無比な縫製はまるでリバーシブルのようです、とか、お素材以外のポイントこそ、つまりそれは、そうか、なるほど、と限りなくロジカルな具体的要素こそ、素晴らしき一品たる所以とご納得頂けるものと存じますが、そんな合理的なオペレーションより、初見で圧倒された純粋無垢な「素材力」を、とてもリアルに、とてもクリアに、お伝えしなかればならない使命感に近い想い、それは今シーズンこのタイミングに偶発的にも様々なお国/年代/種類の「リネン」が肩を並べている店内空間において、あるいは、イタリアとファッションを突き合わせた際に自然発生するいくつもの魅力的要素のうち、“ 素材 ” というキーワードも避けては通れないファクターであり、あるからこそ、別国にはアイリッシュリネンと世界最高峰の質が存在する中で、例えば素晴らしき一例のようなこの硬質無垢であり其れはまるでエクトプラズマのように色気すら漂う洋服であるがための「リネン」であり、驚くことにエクトプラズマのように色気すら漂う洋服であるがためのリネンは、肌に接触する “ 内側 ” に縫い付けられたシステムであり、硬質無垢そのものと云えるリネンをメインファブリックに任命した皮肉と紙一重の術は、決してスポイルではなく、人前に出るのに何かを着なくてはいけないから仕方なく服を着るベクトルも、服装に敬意を払う教えも、休日の午後にファッションを愉しむ単純明快な嗜好すら叶う、万能無敵な1着に見事に昇華された、やはりメインコレクションレーヴェルに相応しい一品で御座いました。
ごく、控えめに申し上げましても。
Newarrival 80s Giorgio Armani pure linen blouson
カジュアルレーヴェルが恐ろしいほどの “ 質 ” を具有するイタリ本国のビックメゾン中で、こうして実際にメインコレクションピースを目の前にしますと、この手のブルゾンの相場は決まりきってるだろう、何が目的かわかってるよと言わんばかりの束を連ねる少年のように、ただ、ただ、直向きで嘘のない “ 自信 ” が顕示され、両面が “ タフネス ” なリネンというお素材で表現されている具体性と、それを驚くほど丁寧に丁重に縫製されている具体性は、安易かつ抽象的な表現にて誠に恐れ入りますが、made in Italyをまるで見事に象徴した一品であると、弊店からも自信をもってお勧めを致します。
恒久的思考性が人一倍強い、わたくしからは特に。
SURR by LAILA 小林
03-5468-5966
[email protected]
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